全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-65 きものと帯の合わせ方(その8)
ゆうきくんの言いたい放題
「きものと帯の合わせ方」と言う表題で話を進めてきたが、読者には良く理解しがたかったかもしれない。私の説明の仕方も悪いかもしれないが、結論的には、きものと帯の組み合わせは、一元的には考えられない複雑なものである。
先に書いた通り、きものと帯の組み合わせは「きもののTPO早見表」のように一元的に単純に決められるものではない。長い歴史を経て形成された日本人の衣装であるきもののTPOを一元的に早見表で検索できると考える方がおこがましい。
私は長い間呉服屋を生業としてきものと付き合ってきた。その上で、どのような着物を何時着るべきか。その着物にはどの帯を合わせたらよいのかはぼんやりと分かっているつもりである。しかし、それを言葉に出して説明しようとすると、うまくその言葉が見つからず、上記の様な説明になってしまう。
同じ着物でも締める帯によって格が変り、同じ帯でも帯締めや帯揚を変えれば違った顔を見せてくれる。きもの、帯、帯締め、帯揚、草履、半襟・・・これらをどのように組み合わせ、どのように着こなすかによって装いの格が変って来る。
きものと帯、そしてその他の小物の組み合わせをどうしたら良いのか。それぞれのきものや帯、小物がどのようなものなのか。それらを知るには経験に頼るほかないようにも思える。それは、きものが日常生活の上で縁遠くなった今日、大変難しい事だろう。
しかし、きものの決まり事、昔から培ってきた日本の文化は「〇〇早見表」で簡単に決められるものではないと言う事を覚えておいていただきたい。そして、きものに接する機会を意識してより多く創り、日本のきものを理解して頂きたい。