明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-68 呉服業界も値上げの嵐

ゆうきくんの言いたい放題

 先日久しぶりに東京へ仕入れに行ってきた。コロナ禍が始まって以来、出張は自粛してきた。最近はコロナ感染者が初期に比べて多いとはいえ、重症化する人が減少している。コロナウイルスの毒性が弱まったのだろうか。

 一昨年の今頃の感染者は今と比べればほんの少しだったが、当時は「コロナに罹ったら死に直面する」と言う感覚だった。それ以来出張は自粛していた。 

 コロナが始まって最初に出張した時には決死隊の覚悟だった。東京駅に着いたら、できるだけ人との距離をおいて歩き、電車やタクシーには乗らずに東京駅から人形町まで歩いた。もちろん人とすれ違う時は避けるように距離をとって歩いた。

 浅草までは流石に地下鉄に乗らなければならない。マスクを二重にして端の席でじっとしていた。

 コロナで売り上げが落ちているとはいえ、仕入に行かなければ売る商品がなくなってしまう。電話で注文できるものは調達できるが、現物を見て仕入れるものは出張して仕入れなくてはならない。

 前回は2月に行ったので4か月ぶりの出張である。今回の出張では、行く先々で同じような事を言われた。価格の値上げと品不足である。

 ある問屋で商品を手に取ろうとすると、
「結城屋さん、その商品はそれでおしまいです。次は、何時いくらで入ってくるのか分かりませんから。」
また他の問屋でハンカチを見ていたら、
「そのハンカチは間もなく100円値上がります」
風呂敷を見ていると、
「その風呂敷は値上げの予定です。そのメーカーは9月にカタログを改訂しますので、9月まではその価格です。」
何もかにもが値上げと言う感じである。

 値上げと共に品不足(品薄)も起きている。
「子供の兵児帯はありますか。絞りのはいったもの。」
「ええ、そこにあります。」
しかし、有るのは化繊の兵児帯だった。
「正絹は無いんですか。」
「正絹はありません。入ってこないんです。」
「いつ頃入荷するんですか。」
「もう入ってこないです。作っていない様なので。」
「えっ、子供の兵児帯ですよ。作っていないんですか。」
問屋の返事は要を得なかった。あるのは化繊の兵児帯の余ったようなものばかりだった。他の問屋で仕入れて事なきを得たが、まさかいずれの問屋にしても、「正絹の兵児帯はない」と言う言葉を聞くとは思わなかった。

 他の問屋では、
「前に御社で扱っていた安い手の作務衣はないですか。」
「ええ、大分前にやめました。」
「10枚ロットでとっていただいた事がありますが。」
「いえ、今は商品が入ってこないんです。」
「えっ、どうしてですか。」
「中国から入っていたので・・・。」
「コロナのせいですか。」
「ええ、それもありますが船便が動かないし、円安の影響もありますし、・・・。」

 あらゆる商品の値上げ、品薄は複雑な事情によるものらしい。

                                       つづく

着物のことならなんでもお問い合わせください。

line

TEL.023-623-0466

営業時間/10:00~19:00 定休日/第2、第4木曜日

メールでのお問い合わせはこちら