全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-68 呉服業界も値上げの嵐(その2)
呉服業界に限らず、最近値上げの話題は事欠かない。食品の値上げ、石油・ガソリンの値上げ、原材料の値上げ等。
食品の値上げは、ウクライナ情勢が関わっているらしい。石油やガソリンもその影響が否めない。そして、それに輪をかけて円安がある。円が安くなることによって輸入品の価格が上がって行く。
円安が福音となる業種もある。製品を輸出する製造業は、円が下がっただけ利益になる。しかし、それは外国へ輸出した場合で、国内での販売では利益に繋がらない。資源のない日本では円安は原材料の高騰に繋がり、内需にとって円高の方がメリットがあるのだろうか。
日本のみならず外国でも値上がりが深刻である。6月のアメリカのインフレ率は9.1%である。月に一割近く値段が上がった計算になる。ニューヨークで普段の昼食を摂ると2000円位すると言う。日本の物価が安いのか、アメリカの物価が高いのか。
日本の物価の上昇に対して賃金が付いて行っていない、と言う議論がある。物価が上がっているのだから庶民の生活が苦しくなり、給料を上げなければならないと言う。しかり、その通りである。また、日本では材料原価の値上がりが価格に反映されず、次第に利が薄くなっていると言う。
インフレ、品薄の中で庶民は賃上げを希求し、メーカー(賃金を払う側)は、原材料の値上がりを価格に反映されずに苦しんでいる。これではどちらも満足する結果は得られない。
さて、私共の呉服業界はどうだろうか。先に記した通り、仕入れ価格が上がっている。仕入れ価格が上がっているのだから、当然小売価格に転嫁して値上げするべきだが、やはり中々そうは行かないところがある。
「値上げして果たして消費者が付いてきてくれるのだろうか。値上げをした途端に売れなくなるのではないだろうか。」
「値上げをするのは私の店だけではないのか。他の店は我慢して価格を抑えているとしたら、私の店だけが消費者に見放されるのではないのだろうか。」
「問屋が値上げと言っているけれども、全ての問屋が値上げしているのだろうか。他の問屋も見て見なければならないだろうか。」
そんな思いが浮かんでくる。善良な小売店であれば、「良い品をより安く」消費者に提供したいと思っている。そうすれば、消費者の支持を得て十分な利益を出せるはずである。
そう言う意味では、メーカーが原材料費の値上げを価格に転嫁できない気持ちもよく分かる。呉服業界として小売屋は、どのように取り組んだら良いのだろう。
つづく