全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-72 コロナ、振袖、七五三
新型コロナウイルスが日本に上陸してから二年半過ぎた。もう長い間マスクを付け、気を遣いながら生活してきた。日本に上陸したのは何時だったのか、数えて見ないと直ぐには出てこない。これからもうずっとこんな生活が続くのかとも思わされる。
それでも上陸当初の頃とは事情が変わってきている。上陸当初は、コロナに感染すれば半数の人が死に至るような雰囲気だった。しかし、最近のウイルスは弱毒化したのか、あるいはワクチンが行き渡っているせいなのか分からないが、感染者も無症状の人が多く、重症化したり死に至る人はめっきり減っている。そのせいか分からないが、人々の動きを見ていると、以前ほど慎重ではなくなってきている。
コロナの商売に対する影響は甚大だった。人が街に出なくなり売上が三分の一程度まで減少したこともあった。昨年末には八割方売上が戻ったように思えたが、年を越すとオミクロン株の流行で再び街から人の姿が消え、売上も再び大きく減少した。
六月ごろには沈静化したかに見えたが、第七波が襲い掛かり急激な感染者の増加となった。それでも、市民の意識の変化からなのか、前回ほどの売上の減少には繋がらなかった。
八月以降、私の店の売上を支えてくれたのは、振袖と七五三だった。特に七五三は以前にもまして注文が多かった。
七五三で子供が着る三つ身や四つ身については、「Ⅶ-53子供のきもの」で詳しく述べたけれども、私の店では小紋から仕立てる事が多い。子供の着物を小紋から本裁ちで仕立てるのは非常に手間が掛かる。襦袢は既成の化繊襦袢を使う場合も多いが、中には襦袢も正絹で仕立てを希望される方もいる。
そして、振袖の注文も今年は多かった。振袖の場合は大概帯や襦袢も一緒に仕立てる事になる。これもとても手間が掛かる。そんな訳で八月以降、何とか売上を確保したが、仕立てが大忙しだった。
私の店にとってコロナ禍の中、大変ありがたい売上だった。しかし、小紋や紬は全く動かない。最近はお茶会など着物を着る催しが徐々に増えて来たと言うけれども、着物の新調には至っていない。何故、七五三、振袖が売れるのだろうか。
昔に比べれば、七五三や振袖の需要は激減している。いや、需要と言うよりも販売量の減少である。
最近は、七五三でも振袖でもレンタルが多くなってきた。七五三の場合は写真館でのレンタルが主流を占めているようである。「一度しか着ないから」と、レンタルで借りる人が多い。
また、写真館やレンタル業者は今までになかったような祝着や振袖を揃えている。漫画やテレビドラマから飛び出て来たような奇抜な?祝着や振袖である。現代の若者や若い親には好まれているらしい。
つづく