明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-73 最強のアナログ・・「きもの」

ゆうきくんの言いたい放題

 ここ20年位で世の中のIT化が急速に進んだ。普段の生活、特に電気製品はIT化が進み、私の様な年寄りには、その使い方すら理解するのが難しくなった。

 電子マネーは便利だ、と政府が音頭を取って進めているが、私には複雑で使いずらい。電子マネーの種類が多すぎて何が何だか分からない。消費者の立場のみならず、「電子マネーを使われる立場」すなわち小売店にとっては決して喜んで受け入れられるものではない。

 発生する手数料は全て小売店にしわ寄せされている。消費者の支払い手続きが簡単になった分、その複雑な処理と経費はどこかにしわ寄せされている。複雑な仕組みは脆弱性が伴う。みずほ銀行の度重なるATMの不祥事はそれを表している。

 この度のコロナ禍、ロシアによるウクライナの侵略によって半導体不足となり、製品の流通が悪くなり、如何に産業のIT化が進んでいるかを顕著に実感する結果となった。

 そうは言っても世の中の流れは変えられない。あらゆる面において、これからもっとIT化が進むのだろう。

 先日、IT技術者と話をした。彼の話は私にとっては夢物語である。話を聞けば、
「そんな事までできるの?」
と言うような話がどんどん飛び出してくる。

 電子書籍の話になった。今は書籍を閲覧するだけではなく読み聞かせてくれるソフトがあると言う。アナログ人間の私が知らないだけで、既に多くの人が利用しているのかもしれないが、私には驚きだった。
「自分が読まなくても読み聞かせてくれるの?」

 彼は料理が好きで、料理をしながら聞くと言う。しかし、肉声ではなくコンピューターの音声なので小説は感情が入らずダメだと言う。ビジネス著等を聞きながら料理をする姿を想像すると、世の中なんとも忙しいな、と思う。

 あれやこれやとITの話をする彼も着物が嫌いではない。以前、着物を仕立て、着つけてあげたことがあったがとても喜んでいた。そんな彼に私が一言言った。
「着物は最強のアナログですね。」
彼は頷いた。

 着物の世界もIT化が進んでいる。インターネットでの販売はもちろん、商品管理や顧客管理のソフトを売り込んでくる問屋もある。しかし、それらは現在のIT事情に比べれば、極序の口である。

 呉服と似た業界であるアパレル業界では、ファッションテックと言う言葉がある。ITを取り入れて、商品管理、業務管理、生産、データ分析などありとあらゆる業務にITを駆使して効率化している。

 バーチャルで試着して好みとサイズに応じて生産納品する。それに伴って在庫ゼロの受注生産の実現。欲しい商品がどの店にあるかを瞬時に検索する。オンラインストアでの商品の3D化等々、今のアパレル業界は最先端のIT技術で武装している様に見える。

 呉服と同じ衣料品の業界であるアパレル業界が先に走って呉服業界が後を追う事になるのだろうか。

                                       つづく

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