明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-80 呉服業界まだまだ、私も井の中の蛙(その3)

ゆうきくんの言いたい放題

 実は、この工房では小物を期待してきたのであったが、小物は極片手間で創ったものだった。あくまでも織物が主体で、見せて頂いた小物も少しだった。これから創る予定も未定だという。

 少しだけあった小物の在庫を見せてもらった。いくつかの商品を品定めして仕入れたが、逆に商品に対する評価を求められた。価格や商品の造りについて。

 メーカーの目線と我々小売屋の目線は違う。メーカーで何気なく創っている物でも消費者の目線からすると気になる点もある。通常我々小売屋は問屋を介して商品を仕入れているので、そのような事が話題にはならない。やはりメーカーの視点と小売りの視点を良く考えなければならないと思う。

 今回のメーカー二社の訪問では、目的とした小物の仕入れはそれ程のものでもなかったが、得る物が大きかった。

 物の生産現場が現在どのようになっているのか。呉服業界では織物を織る機屋、糸を卸す糸屋などはまだまだ生きていると実感させられた。

 今業界では、西陣の老舗の織屋が次々と廃業や倒産で姿を消し、生き残っている織屋の中には生産量が極端に減って不動産業など他の事業で生き残っているというような話を聞く。有名な染屋もなくなってきている。また、白生地を織る織屋も姿を消し、特定の白生地が無くなってしまうと言う噂も聞こえてくる。国内の養蚕業はほぼ壊滅し、海外から入って来た絹糸も他国での需要増で価格が上がり、日本には入って来なくなるという話も聞いた。

 それらの話は、業界誌や問屋から聞こえてくる話だけれども、それらの話を聞いていると、間もなく呉服業界は糸や織物が流通しなくなり壊滅してしまうような錯覚に陥る。

 しかし、どっこい生産現場は生きている。直ぐ近くの町、産地と言う名を冠しない町で織物は織られている。全国に流通する糸の多くを近くの町から出荷されているとは夢にも思わなかった。おそらくそれらは氷山の一角かも知れない。

 我々下流、河口にいる小売屋には、上流の流れが細ってきているのは感じられる。大河の上流にはもう水は流れていないと思わせられている。しかし、大河は細ってしまっても、まだまだ元気に水を流してくれている細い川が沢山あるのだろう。

 太い動脈が詰まってしまっても、沢山の細い動脈が命を保ってくれる事を期待したい。

 私も井の中の蛙であった。私の知らない処にあるまだまだ元気なメーカーや問屋が沢山あると信じて業界が続く事を望んでいる。

           

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