全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-86 着物絶滅危惧種(その7)
染物や織物を創る職人業者が減り、着物のアイテムが減っている。着物を仕立てる、着付けするパーツが無くなる。着物は着られなくなってしまうのだろうかと心配になる。私も心配である。悲観的な事ばかり書いてしまったが、着物が絶滅する事はない。いや、着物を着る人、着物の業界がその気になれば、着物は未来永劫に日本人に愛され続け、着続けられるものと思う。
染物や織物を創る職人業者が減り、着物の生産が減少しているのは需要が減少しているからに他ならない。その中で絶滅種が発生している。着物需要の減は避けられないかもしれない。しかし、需要の減少を招いている原因を考えれば、その減少を緩和または横ばい程度に抑えられるかもしれない。
着物需要の減少を招いているのは、着る人の減少、そして販売数の減少である。
着る人の減少には様々な原因がある。しかし、巷には結構着物を着たいと言う人がいる。その人達が着物を着ない理由と言えば、
「何を着れば良いかが分からない。」
「いつ着れば良いかが分からない。」
「着物の着方が分からず、着物を着たら恥をかくのではないか。」
等、着物を着る壁が存在している。その壁を創っている人は、着物を着ている人達のように思える。着物を愛好する人、着付士はじめ着物のプロと呼ばれる人達は、素人から見れば悪気はなくても厚い壁を創ってしまっている。昔からの着物のしきたりは尊重して守らなければと思うが、着物初心者に初めから免許皆伝を渡そうとするのではなく、少しずつ着物に慣れ親しんでもらってはどうだろうか。
販売数の減は業界の責任である。現在の着物は余りにも高価になり過ぎている、と言うよりも消費者が「着物とは高価なものだ。」と思い込まされている。
先日ある地方問屋さんが、
「先日組合で消費者セールをしました。売上は十分にあったのですが、うちの取り分はほんの少しなんです。」
と言っていた。
時に着物はべらぼうな価格で販売されている。一方インターネットでは、バッタ商品が捨て値で売られている。どちらにしても生産者にとっては、自分達の努力が正確に消費者に伝わっていない事を痛感している。それでも生活を続ける為には仕方がないと思って生産者は頑張っているのだろう。
着物を着る人も、業界の人も着物を当たり前に扱い当たり前に来ていただければ、着物絶滅危惧は薄らぐと思えるのだがどうだろう。