明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-94 きものの知識 1「友禅染」

ゆうきくんの言いたい放題

 友禅染は日本の染色の集大成とも言える染色法である。江戸時代、扇絵師宮崎友禅斎がその染色法を確立したと言われている。

 何度も期している様に呉服用語は非常に曖昧な使い方をする。「友禅染」と言う言葉は聞いたことがあるかもしれないが、広い意味狭い意味、また本来の意味から離れて使う事もある。

 私も問屋さんと話していて「友禅」と言う言葉を使うけれども、場合によっては「染物 」の意味で使う事もある。例えば問屋さんが、
「「紬」よりも「友禅」が良いですか?」
と聞かれることがある。つまり、先染めの「紬」に対して後染め(染物)を指して言っている。

 業界の人の中には、
「いや、そんな使い方はしないよ。」
と言う人も多いと思う。つまり業界用語は本来の意味を離れると、それぞれがそれぞれの意味で使うようになる例がある。

 さて、友禅の話に戻ろう。今回は「友禅染」本来の意味、狭い意味での「友禅染」に言及したい。

 染色と言うのは、布に色を染める事である。その歴史は古くいつまで遡るのかは分からない。

 元々人は猿やゴリラの様に裸で過ごしていただろう。石器時代になり道具を使うようになり、人は衣服を身に付けるようになる。衣服と言ってもきれいに仕立てられたものではなく、木の皮や毛皮の粗末な物を纏っていたのだろう。石器時代を描いた絵には毛皮をまとった人が登場する。

 人が衣服を纏う目的は、保温と保護である。寒さから身を守り、外敵や外傷から身を守る為であった。しかし、余裕ができ文化が芽生えると衣服に色を付けておしゃれをするようになった。衣服の形をデザインしたり色を付けるといったおしゃれである。

 衣服に色を付けると言うのはそう簡単ではない。最初は赤い花弁を擦り付けて赤く染めたり、泥を塗って色を付けたりしたのかもしれない。そのような染色では、色は定着しないし、色を付けるだけで絵柄を描くことはできない。

 何とか綺麗な絵柄を描きたいと思ったのだろう。布に絵柄を描く方法は昔から行われてきた。日本で最も古い染色法として知られる「天平の三纈」と呼ばれるものがある。それらは、その名の通り天平時代に染められていた。三纈とは臈纈」「纐纈」「夾纈」である

「臈纈」は蝋を使って布に絵柄を描く。「纐纈」は所謂「絞り染め」である。「夾纈」は「板締め染色法」とも呼ばれ現代でも正確に再現できない幻の染色法である。

 この三纈と呼ばれる染色法は、いずれも自由自在に繊細な絵柄を描く事ができない。

 「臈纈」は筆で蝋を使って絵を描いて行く。絵柄を描く事はできるが、繊細な絵柄は描けない。

「纐纈」は布を縛って防染して絵柄を染め出すが絵柄は偶然性によるものであり、思った通りの絵柄は染められない。(纐纈即ち絞り染めはその後「つじ)

「夾纈」は柄を彫った木で布を挟んで絵柄を染める方法である。繊細な絵柄の木型を創る事は難しく、またその染色法故に柄の境界をはっきりと染める事ができない。

つづく

着物のことならなんでもお問い合わせください。

line

TEL.023-623-0466

営業時間/10:00~19:00 定休日/第2、第4木曜日

メールでのお問い合わせはこちら