明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-97 きものの知識「型糸目友禅」その4

ゆうきくんの言いたい放題

 手描きと型糸目の見分け方は実に簡単である。惑わされない様に是非覚えて頂きたい。

 型糸目は型で糸目を入れる技術である。型の長さは2尺弱(約70cm)である。反物は三丈物(通常の表生地)で約12mある。12mの型で一気に糸目を入れる訳ではなく、型を何枚も使って一反分の糸目を入れる。付下げの場合は、それ程柄が多くないので何枚かの型を使って糸目を入れる。

 型糸目は安価だと言っても、型を作るにはそれなりに経費が掛かる。実際いくら掛かるのかは知らないが、そう安い物ではないだろう。それでも価格を安く抑えらるのは、型を何度も使えることである。一度型を作ってしまえば何度でも(実際は寿命はあるが)使う事ができる。同じ着物を何枚でも染められるのである。

 型を何度も使うのは、何枚も着物を染める為だけではなく、同じ着物にも何度も使ってコストの削減を図っている。

 通常、訪問着や付下げでは右袖の裏、左袖の内に柄がある。型糸目の場合、その二つの柄は同じ型で染められている。違う柄にしようと思えば型が二枚必要だが、同じ柄であれば型が一枚で済む。それだけで大幅なコストダウンが図れるのである。

 素人目には、両袖に柄の入った付下げや訪問着に見えるが、手描きの物であれば、両袖の柄は違った柄が配されていて、また同じ柄に染める必要は全くない。型糸目では、ひとえにコストダウンの為に同じ型で糸目を入れるのである。

 もう一枚の型代が掛かろうとも、左右別の柄にすれば付加価値が高まるだろうと私は思うのだが、実際の型のコストも分からず、現場ではどのような判断が成されているか分からない。

 つまり、手描きと型糸目を見分けるポイントは、
「左右の袖の柄が同じであれば、それは間違いなく型糸目で染められた物である。」
と言う事です。

 しかし、中には少々手の込んだものもある。前述した私が鑑定した付下げがそうだった。

 その付下げを広げて見ると、一目で型糸目と分かる物であったが、両袖の柄を見て確信した。しかし、良く見ると左右の袖の柄は微妙に違っていた。全体的には、左右ぴったりと同じ柄なのだが、片方の柄がやや少ない。良く見ると、同じ型を使いながら、一部を省略しているのである。つまり、型の一部に紙をあてて染めたのかもしれない。そのようにして、左右の柄が違う様に見せかけているようだ。

 それ自体は、より手描きに近い染物を創ろうとする染屋の努力なのだろう。非難するには当たらず、むしろその工夫を賞賛すべきである。

 「左右の袖の柄が同じ」または「ほとんど同じ」と言うのは型糸目の明らかな証拠である。それだけ覚えていても手描きと見分ける事ができる。是非覚えておいていただきたい。

 左右の袖の柄が同じであろうと、それは粗悪品と言う事ではない。先に書いたように、型糸目と言うのは革新的な技術であり、多くの人が安価に着物を楽しんで頂く為にはとても有用な物である。流通が正しく行われるのであれば、それなりの価格で買って頂いて着物を楽しんでもらいたいと思う。

つづく

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