明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-98 きものの知識「注染と捺染」(その2)

ゆうきくんの言いたい放題

 もう一つの捺染について語ります。

 捺染と一口に言いますが。「手捺染」と「機械捺染」があります。「手捺染」は、型を用いて職人が染料を刷り込む方法で、職人の高度な技術を要します。多色で染める場合は、一色一型で染めて行きます。

 手拭いや浴衣も昔は手捺染で染められたのかもしれませんが、今は機械捺染で染められます。機械捺染は、手捺染や注染に比べて安価にできますので、手拭や浴衣を語る場合は、手で染める「注染」に対して機械で染める「捺染」の事を指していると考えて良いと思います。

 私の店で売っている「注染」の手拭は1500円~3000円位ですが、安い捺染の手拭は400円(税込み440円)です。

 「注染」は上述の通り職人が一型一型糊を入れて行きますが、(機械)捺染は円筒状の型とドラムに生地を挟んで染めて行きます。ローラー捺染と呼ばれますが、高速でローラーを回しますので、「注染」に比べて手間も時間も遥かに省く事ができます。

 染上りを比べると、「注染」は染料を浸み込ませますので裏側も表と同じように染まりますが、捺染の場合生地の片側に染料を刷り込みますので、裏に染料が浸みこまず表だけを染める事になります。

 捺染の機械や染料の種類にもよると思いますが、捺染で染めた手拭の中には裏が真っ白な物があります。しかし、染料によっては裏に浸み込んで表と同じ柄が染められている物もあります。しかし、捺染の場合は表と裏を比べれば容易にどちらが表か裏かが分かります。表は柄がはっきりとしていますが、裏はややボケたように染まっています。

 それでも「捺染」は「注染」に比べて圧倒的にコストが安く、手拭や浴衣を安価に制作する為には欠かせない染色法です。

 価格の他にもそれぞれ長所短所があります。

 「注染」の場合は生地を折り返しながら染めますので、柄は一型毎に裏表になります。しかし捺染の場合は、ローラーで送りますので柄はどこまでも裏表なく、云わば無限に染められてゆきます。「注染」の場合にできる折り目(泣き)もありません。捺染はプリント、云わば印刷ですので極めて綺麗に出来ます。(綺麗が良いかどうかは別問題ですが。)

 浴衣を染める場合、「注染」は一型毎に裏、表、裏、表・・・となりますので、柄に文字を入れた場合一型毎に裏文字が染められることになります。ですから「注染」では通常裏表のある柄、特に文字は浴衣の柄にはせず、どうしても文字を染め、裏文字を避けたい時には「捺染」で染める事になります。

 私の店で温泉旅館の浴衣を受注して染めたことがありました。温泉旅館の浴衣の注文は大量ですので失敗するわけには行かず慎重に女将さんと打ち合わせをして染めました。

 最初に染色法に「注染」と「捺染」がある事を説明し、その長所短所も詳しく説明しました。旅館やホテルの浴衣は専門の業者が何社かあって、通常そう言ったルートで発注するのですが、旅館の浴衣は如何にも「旅館の浴衣」と言った風で、その女将さんはそれに飽き足らずに私の店への発注となりました。

つづく

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