明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-98 きものの知識「注染と捺染」(その4)

ゆうきくんの言いたい放題

 さて、そうは言っても私の店で納める浴衣が丈の短い浴衣になってしまうのは避けなければなりません。

 まず捺染で染められた浴衣が実際にどれだけ縮むのかを検証しました。

 染屋さんに聞いたら、注文外れの仕立上がった浴衣があるので送ってくれました。それで実際にどれだけ縮むのかを検証しました。

 旅館では毎日リネン業者がやって来て洗濯する浴衣を持って行きます。旅館に頼んでそれと一緒に浴衣を洗濯してもらいました。

 洗濯した浴衣の寸法を測り、また洗濯に出してもらいます。何度か洗濯をすると浴衣は見事に縮んでゆきます。すると浴衣の縮む傾向が大体分かってきました。最初は大きく縮みますが、次第に縮は少なくなってきます。しかし、一体どこまで縮むかは分かりません。

 その結果、既定のサイズに縮みが予想される長さを足して仕立てる事になりました。女性のMサイズの既成浴衣は着丈が通常142cm位ですが、それに+αの縮みを想定して長く仕立てました。

 できた浴衣は通常より長いので、Mサイズの浴衣が長くなってしまいます。初めは、延ばしたMサイズの浴衣にLサイズの表示をして縮んで短く成ったらMサイズのタグをつける事も考えましたが、その必要はなく何度かリネンに廻して縮ませてから使う事になりました。

 数カ月して旅館を訪れて追跡調査をしましたが、大変具合が良いとのことでした。短い旅館の浴衣に慣れているお客様からは評判が良かったそうです。

 旅館の浴衣の話になってしまいましたが、注染、捺染それぞれに長所短所があり、それを巧く使わなくてはならないと言う事です。

 裏に染料が通らない、柄の裏表、収縮率など、注染、機械捺染には一長一短がありますが、総じて言えば注染は昔ながらの職人による染色法、機械捺染は現代の技術による安価で精密な染色法と言えます。

 注染の手拭は機械捺染手拭いの5~6倍の価格になります。その出来は、手造りの注染が良いのは言うまでもありません。手造りの注染、安価な機械捺染、どちらも選べるのは消費者にとってはありがたい話です。しかしながら、またもやここで呉服業界の問題にぶち当たってしまいます。

 素人目には、注染、機械捺染すぐさま見分ける事ができません。また、価格の差も判断できないでしょう。消費者にとっては目を曇らせられる一因ともなります。

 手描き友禅と型友禅、型糸目友禅ひいてはインクジェットプリンターの製品が市場の信頼を落とす原因となっている事と同じ要因にもなります。

 型糸目友禅やインクジェットプリンター、機械捺染の技術は安価な染色法として生み出されたものです。それらを正確に判断する事が消費者に求められており、消費者が正しい知識を持って判断し、市場を淘汰する事が染色業界、ひいては呉服業界を正しい方向に導く事と思います。

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