明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-93 業界の次の世代を担う人達

ゆうきくんの言いたい放題

 業界の高齢化が進んでいる。西陣の織り手の平均は65歳を超えていると聞く。他の生産現場でも同じように高齢化が進んでいる。

 着物の生産現場はいずれも地味で根気がいる作業である。しかし、伝統文化をコツコツと積み上げ創り出す喜びもあり、志す若者がいない訳ではない。私も若ければ、そう言った現場に飛び込むのも一つの選択だと感じている。

 しかし、生産現場の賃金が低い、将来が見通せない等の理由で多くの若者が着物の生産現場を敬遠している。それでも地道にやりがいのある仕事として携わっている人もいる。

 私の店に一度訪れた紅型染を志していた女性は、現在沖縄に工房を構え、立派に仕事をしている。「沖縄にいらしたら是非お寄りください」と言われたのだが、中々沖縄に足を運ぶ機会が無い。

 私の店のお客様が沖縄に旅行して紅型工房を見学してみたいと言うので紹介したら、快く見学させてくれたと言う。そのお客様は大変喜んで沖縄のお土産まで頂戴した。

 その若い紅型作家さんは、とてもいきいきと制作に励んでいたと言う。そのように生産現場が若手人達で元気になれば良いのだが、そう言った話は余り多く聞かない。

 さて業界では、生産現場ばかりでなく流通現場でも高齢化が進んでいる。私のような小売店が直接接するのは前売り問屋である。我々小売屋が商品を仕入れる時には、取引のある問屋さん、直接的に接するのはその担当者である。

 商品の注文がある時には、問屋に電話をして担当者を呼び出して注文をする。時にはその担当者が店に訪れる事もある。「訪れる事もある」と書いたけれども、昔は毎月その担当者が商品を持ってお店にやって来ていた。私の一つ世代前の時は月に二回沢山の商品を持って店にやって来ていたと言う。

 私も呉服問屋にいた当時は、担当している呉服店を月に一二度訪問して注文を聞いたり、売り出しへの招客をしていた。

 私が山形に戻ると、立場は訪問する立場から訪問される立場になった。

 昭和50年代、当時は呉服業界が斜陽を迎えてはいたが、現在よりは遥かに活気があった。当時取引していた前売り問屋は10軒程あったが、入れ代わり立ち代わり商品を持ってやって来る。

 店にやって来ると商品を入れた段ボール箱(通称「ボテ箱」)をいくつか持ち込んで、商品を並べて商談をしていた。

 呉服の商売にかかわらず、商売をする上で取引先の担当者の個性は大きく影響する。担当者の商品知識や商品を手配する技量などの商売上のテクニカルな能力もさることながら、人としての付き合いなども絡み、取引高に大きく影響してくる。

 その担当者(店に出張してくるので「出張員」とも呼ばれる)の年齢は年々上がっている。人は毎年歳を採るので当然かもしれないが、出張員が代わっても、同じ年代の人達である。

 私が問屋で小売店を廻っていた当時は二十歳代。しかし、今やってくる出張員は五十代以上がほとんどである。

つづく

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