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全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-94 きものの知識 1「友禅染」その2

ゆうきくんの言いたい放題

 布は紙と違って染料を落とせばたちまち滲んでしまう性質がある。画用紙に水彩絵の具で細い線を書くことはできるが、染料を含んだ筆で布に細い線を書くことはできない。

 古の人達は、繊細な絵柄は無理でも衣装を色柄でおしゃれにしたかったのだろう。その心は今も昔も変わらない。

 布に染色を施す場合、染め分ける為に色が滲み出さない様にする方法を「防染」と言う。「染まるのを防ぐ」と言う意味である。この防染技術の工夫発達こそが染色の歴史と言える。

臈纈」は布に蝋を落とした処は染料に染まらない。即ち蝋が「防染」しているのである。しかし、蝋にひびが入ると、染料が進入して防染しているところにひび状の柄が染まってしまう。それもまた「臈纈」の特徴であり趣でもある。

「纐纈」は布を強く縛る事によって染料の進入を防いでいる。縛ることによって防染しているのである。布を畳んで絞れば繰り返し模様も可能である。その後、様々な絞り方が考案され今日有松や鳴海で素晴らしい絞り染めが染められている。

「夾纈」は、板の間に布を強く挟むことによって防染している。しかし、布を板で挟むには板を平らにしなくてはならない。少しでも凸凹があれば染料が侵入して防染の役にはならない。遠い昔にそれ程正確に平らな板を作る事が出来たのか。また、どのようにして染料を注ぐ事ができたのかなど謎が多く幻の染と言われている。
 板で布を防染しようとすると柄の縁がはっきりと出ない。縁がぼんやりとしてしまう。それが「夾纈」の味とも言えるのだが、はっきりとした絵柄は描けない。

 染色の歴史では、どのような防染技術を用いれば繊細な絵柄が描けるかが課題となっていた。

 その後、様々な染色法(防染法)が考案されたが、室町末期から安土桃山時代に掛けて辻ケ花染が現れる。当時の辻ケ花染は現在出回っている辻ケ花とは異なる物である。(詳細は別項にて詳述する)

 辻ケ花染めは絞り染めを進化させたもので、絞りの技術によって具体的な絵柄を染めようとするものである。葉っぱの形に染めようとしたら、葉っぱの形に布を縛る。花弁の柄は花弁の形に絞って花弁の柄を染め出す。更に墨絵描きや金彩、刺繍なども施している。

 しかし、辻ケ花染めは風景画などの細かく大きな柄には向かない。また柄の縁は絞り染めの縁になってしまう。とは言え、辻ケ花染めは当時一世を風靡し日本の染色の歴史の中では光を放っている。

 辻ケ花染は江戸時代になると忽然と姿を消す。そして、その後17世紀末に宮崎友禅斎によって友禅染が確立された。

つづく

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