全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-99 きものの知識「和装仕立」(その2)
身丈に限って言えば、「裁ち切り」を長くすることを「内揚げをする(採る)」とも言う。「内揚げ」は胸の処に襞を造って長さを吸収する。後ろ身頃は「くりこし」の為に襞を採ってあるので前身頃を見れば「内揚げ」が採ってあるかどうかが分かる。
「内揚げ」を採るのは、必ずしも身丈を延ばす為だけではない。特に紬などの普段着を長い間着ていると裾が擦れてしまう場合がある。袷仕立ての場合は、八掛が付いているので表地よりも八掛が擦れてしまうので表地が擦り切れる事は余りないが単衣の場合、長い間着れば擦り切れは良く起こる。
裾が擦り切れれば、解いて擦り切れた部分を切って延ばして仕立てる。裾の修理には生地を1寸弱裁ち切るので、2寸長ければ2回、3寸長ければ2~3回裾の修理ができる。
身丈の他に袖丈も「裁ち切り」を長くする場合がある。袖丈は身長によってもその長さが左右される。背の高い人は袖丈が長く、背の低い人は袖丈が短い。また、若い人は袖丈が長く、年配者は袖丈が短い。仕立替えによってどのような人の寸法にするのか分からないので袖丈の「裁ち切り」を長くしておく必要がある。
袖丈は、振袖でない限り長さはそれほど大きくは変わらない。それでも不足の事態に備えて裁ち切りを長くしておく方が良い。そうは言っても、反物の尺は決まっているので「裁ち切り」はその範囲でしかできないが。
着物は、仕立替えを前提に考えて(昔は皆そうだっただろう。)仕立てれば、不測の修理や世代を越えて着る事ができる。
最近は着る機会、頻度が少なく、擦り切れたり破れたりする事は少ない。また親から子へ着物を伝える事もなくなってきたので、実際に仕立替えをするのは稀かもしれない。しかし、着物の本質・・仕立て替えの鷹揚さ・・を理解して仕立ててもらいたいものである。
内揚げや袖丈の縫い込みは大人の着物ばかりではなく子供の着物でも行われる。いや、子供の着物に於いては大人の着物以上に工夫を凝らす事によって大人の着物以上に利用価値が広がる。
子供の着物と言えば「一つ身」「三つ身」「四つ身」がある。子供の成長に従って着物の寸法が大きくなり、仕立て方、生地の裁ち方も変わって来る。
一番小さい着物は一つ身である。一つ身は後ろ身頃を一枚で仕立てる。昔は実際に生まれて間もない子供に手を通させて着せていたが、今子供に一つ身を着せる人はいなくなり、今は「一つ身」と言えば宮参りの祝着を指すことが多い。
宮参りの祝着は、実際に着るのではなく生まれた赤子を抱っこしてその上に掛ける「掛け着物」である。子供が生まれて生後30日前後に氏神に参拝する儀式である。
祝着は着る事を前提としていないので、背中に大きな柄が配されている。また紐は抱く人の首に掛ける為に子供の着物の付け紐より上に付けてある。また袖も開いている。
しかし、三歳で宮参りをする時には、袖を塞いで丸みを付け、紐の位置を変え、身揚げをして着る事も出来る。良い祝着を買われた方には三歳でも着る事を薦めて加工している。着た後は、元に戻す事も薦めている。次の子供や他のお孫さんの時にも着られるようにするためである。
つづく
