全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-65 きものと帯の合わせ方(その7)
【柄】
柄も帯の格に影響する。柄には重みを感じさせるものとカジュアル・遊び心を感じさせる物がある。
有職文様はフォーマル用が多く、縞模様はカジュアルが多い。一つ一つの柄について、「これはフォーマル、これはカジュアル」と分類できるものではないが、格を決定する要因にはなる。
【縮緬】
縮緬と言うのは白生地の種類で、「縮緬とは何か」は、「きもの春秋1.難解なきもの用語」の中で詳しく述べているので、そちらを参照していただきたいが、ここで言う「縮緬」とは、「鬼縮緬」「うずら縮緬」の事である。
綸子や一越も縮緬だが、もっともシボの高い縮緬が「鬼縮緬」「うずら縮緬」で、風呂敷時にも使われている。表面がゴツゴツして縮緬の特徴であるシボが良く目立つので「縮緬」と言えば「鬼縮緬」「うずら縮緬」を指すことが多い。
帯地として縮緬が使われるのは染帯である。他に染帯に使われる生地に塩瀬羽二重地がある。塩瀬羽二重地は縮緬と違って表面がツルツルしている。デュークエイセスの「女ひとり」と言う唄の歌詞に出て来る「結城に塩瀬の素描の帯」と言うのは、この塩瀬羽二重の染帯を指している。
塩瀬の染帯と縮緬の染帯を比べると塩瀬の方が格が高い。尤も染帯はカジュアルの部類なので、その範囲内の話ではあるが。
塩瀬の染帯は、紬にも締めるがお茶席で紋のついた色無地に締める事もある。しかし、縮緬の染帯は色無地には軽く、紬に良く合う。
一般的な帯の格を語るのに「縮緬」を引き合いに出したのには意味がある。先に「光る」ものはフォーマルであると書いた。その延長線上に「ツルツルしたものはフォーマル」と言う事が言える。縮緬の様に表面がゴツゴツしたものはカジュアルに分類される。
紬と羽二重を比べて見ればよく分かる。ツルツルした羽二重地はフォーマルとして扱われ、節のある糸で織られた紬地はカジュアルとされる。
【紹巴】
この例えも、数ある織物の中で紹巴のみを取り上げようと言うのではない。「紹巴」については、「きもの博物館28.紹巴」を参照していただきたい。
紹巴の帯はお茶席で良く締められるが、式服用としては見かけない。そうかといって、極普段の着物にも締められない。紹巴は紹巴ならではの格があると言える。帯の織方は様々あるが、織物によってその格付けがある程度決められるものがある。佐賀錦や唐織はフォーマルであり、すくい織はカジュアルである。
織り方も格を決める要素である。
つづく