明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-75 大雪・きもの(その4)

ゆうきくんの言いたい放題

 降雪時の装いで、コートと履物の他に忘れてはならない物がある。「忘れてはならない物」と書いたけれども、実は「ほとんど忘れ去られている物」でもある。それはモンペである。

 着物を着て雪の中を歩く時、最も気になるのが着物の裾の汚れ(濡れ)である。特にフォーマルの場合、裾模様があり、素材は濡れに弱く縮みやすい縮緬である。裾の汚れや濡れには殊のほか気を遣う。

 その着物の裾を雪や雨、泥撥ねから守るのがモンペである。着物を着る人で「モンペ」と言う名を聞いたことのない人はいないだろう。しかし、モンペを持っている人はほとんどいない。私も女房もモンペを持っている。雨や雪の日には大変重宝している。

たまに「モンペはありませんか。」と言うお客様がいらっしゃるが、中々対応できない。既製品のモンペは作られてはいる。インターネットで検索すれば沢山出て来るが、その多くは本来のモンペの機能を果たしていない。

 モンペとズボンの違いは股にマチが入っていて、ゆったりとしている。そしてマチが深く、着物、襦袢の裾が楽に収まるようになっている。しかし、現在売られているモンペの多くは、マチが浅いかまたはマチがなく、言わば「ゆったりとした和風ズボン」である。

 モンペの素材は、水濡れに強く雪が付いても構わない生地で出来ている。元々は綿で造ったのだろうか。私のモンペは正絹だけれども、くず糸で織ったような言わば「濡れてももったいなくはない絹生地」である。今実用的なのは、綿かセルなどのウールだろう。

 モンペは雪から着物の裾をしっかりと守ってくれる。ウールコートとモンペの組み合わせは、降雪時に安心して着物を着る事ができる。問題は足元である。雪が深くない地域では、雪草履や雪下駄で注意深く歩くことが求められる。それでも足袋が汚れないように足袋カバーを履くか、足袋入れに予備の足袋を持って行くことである。雪の深い地域ではやはり長靴が一番と思う。ウールコート、モンペ、長靴であれば、余程の雪国であっても耐雪性は十分である。結婚式に行く場合でも、草履と替えの足袋を用意すれば、式場でも立派な晴れ着で出席できる。

 降雪時に着物を着る事に躊躇される方も多いと思うが、着物にもそれ相応の用意はされている。少々面倒と思われるかもしれないが、洋服とて同じである。ドレス姿で雪の中を歩けない。足元もそれなりの準備をしなくてはならない。

 着物を着る本来の意味を考えれば、降雪時も億劫がらずに着物を着て頂きたいと思う。

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