明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-83 得する街のゼミナール「きものの見分け方」(その24)

ゆうきくんの言いたい放題

 大島紬は絣柄であることはご存知だと思います。絣柄は一部を糸で括って染めた糸で柄を織り出すものです。通常、絣は経糸と緯糸を交差させて柄を織ります。糸の段階で染めた糸で柄を織る訳ですから、緻密な計算が必要ですし、織り手は計算通りに横糸を杼で通し、絣柄を合わせながら織らなくてはなりません。とても手間が掛かりますので縦横絣の大島紬はとても高価になります。

 一方八万円で売られていた「横総」と言うのは、横糸だけで絣を織るものです。横糸だけですから経糸は無地、括らない糸を使います。織り手も横の絣だけ合わせながら織りますので、縦横絣に比べると遥かに手間はかかりません。しかし、「横総」とはいっても糸は本場大島の糸を使いますので本場大島紬には違いありません。

 縦横絣も絣の細かさによって違いがあります。大島紬の絣の細かさを表す「マルキ」と言う単位はご存知かと思います。これは、絣糸の本数を表しています。荒い方から5マルキ、7マルキ、9マルキと呼ばれます。1マルキは80本と言う事になっているのですが、5

マルキは464本、7マルキは576本、9マルキは768本の絣糸で織られています。また、12マルキと言う9マルキよりも更に絣が細かい大島もあります。

 一般的に絣が細かい方が高価になります。5マルキよりも7マルキ、7マルキよりも9マルキ、と言う様に。見分け方は、沢山の大島紬を見ていると大体分かるようになるのですが、9マルキの多くは縦絣糸1本に対して横絣糸2本で織りますので、絣の単位が「山」または「T」の字に見えます。

 実は大島紬の織方は非常に複雑でいくつかの織方があります。「カタス式」「一元式」「割り込み式」と呼ばれるのですが、この織方によっても価格は大きく変わってきます。この織り方を簡単に説明するのは難しく、実は私も100%理解しているとは言い難い面があります。

しかし、とりあえず「より細かい絣の大島紬の方が高価である。」「織方によって価格が違う」と言う事を覚えて頂いてよろしいかと思います。

 このように、大島紬は、いわばピンからキリまであります。今は昔に比べて商品が少なくなり、市場にも余りでなくなりました。価格も昔とはずいぶん変わっているようですが、昔、横総大島が80,000円で売られていた時、複雑な風景を細かい絣で織った大島紬は百万、あるいは数百万で売られていました。大島紬にはその位価格に幅があります。それを決めるのは、織のキメの細かさ、緻密な織と言う事になります。  一口に「大島紬」と言っても高価なものから安価なものまであり、それぞれに理由があります。何が違のかは上記お話し致しましたが、十分とは思いません。しかし、大島紬をご覧になった時には、絣の細かさや織方が関係していると思っていただければと思います。
「大島紬だから全て高価で当たり前。」
と言うような目では見ない方が良いと思います。

つづく

着物のことならなんでもお問い合わせください。

line

TEL.023-623-0466

営業時間/10:00~19:00 定休日/第2、第4木曜日

メールでのお問い合わせはこちら