明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-83 得する街のゼミナール「きものの見分け方」(その22)

ゆうきくんの言いたい放題

 ここまで染物の話をしてきました。染物と言っても友禅や江戸小紋の他に、絞り染めや紅型染め、ローケツ染等まだまだ沢山あるのですが、今回はそのごく一部についてしか話しできません。それらはまた次回に譲るとして、次は織物の見分け方についてお話いたします。

 染物と織物の違いについては、私のページで何度かご説明してきたのですが、ここでもう一度簡単にご説明いたします。

 友禅染は染物です。江戸小紋も染物です。呉服の世界で「染物」と言うのは、単に「染料(あるいは顔料)で染めたもの」ではなく「後染め」を意味します。

「後染め」と言うのは、白生地に後から染料あるいは顔料で柄や色を染めたものです。友禅染は「縮緬」と言う白生地に後から染料で柄を描いたものです。縮緬は生糸を織って生地にしたものですが、縮緬に染めた着物を「織物」とは言いません。学術的には「織物」なのかもしれませんが、完成品としての着物の呼称としては「染物」になります。

 では、「織物」とは何かと言うと、「染物」とは反対に、生地を織る前に染色したものを言います。つまり、糸の段階で染料で染め、その糸を使って織った商品(呉服)の事です。

 織物の例としては紬があります。紬のほとんどは織物です。結城紬も大島紬も糸の段階で絣糸に染められ、その糸をもって織るのです。他に黄八丈や銘仙、上布などもほとんどが先染めで織られますので「織物」と呼ばれます。

 もう一つの例として帯があります。帯の中には「染帯」と呼ばれる後染めの帯もあるのですが、それ以外ほとんどは先染めの糸を使って織られます。

 能衣装に使われる唐織を思ってください、柄ごとに多彩な糸が織り込まれています。つづれ織りもそうです。柄にあたる部分は非常に細かく、巧みに色糸を変えながら織られています。

 これらの織物の見分け方についてお話ししようと思います。

 先にお話ししました「きものの見分け方」は二つの範疇があります。一つは「見る目を持つ」と言う事です。友禅染の例では「糸目が手で引かれてものか、型で引かれてものなのかを見る目」。また江戸小紋では「余りにもきれいに整然と並ぶ点や線が型で染められてものか、奈染で染められたものかを見る目」。これらは一般に「目利き」と呼ばれます。これができれば問題はないのですが、経験のない方にとっては、初めて見る友禅染や江戸小紋を見ても見分けられるものではありません。

 そこでもう一つの見分け方が「技法を見分ける」ことです。言わばテクニカルにきものを見分ける方法です。「型糸目の特徴」「捺染の江戸小紋の特徴」が分かれば比較的容易に見分けられるのです。ただし、余りにもこれに頼りすぎてしまうと、本当の良さを見逃してしまうこともありますので注意しなければなりません。

 さて、織物の話に戻りましょう。

つづく

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