全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題
Ⅶ-83 得する街のゼミナール「きものの見分け方」(その7)
証印の話をしましたので、続けて着物や帯に貼られている証紙についてお話しいたします。
証紙と言いましても、公的なものから私的なものもあります。呉服業界では、産地などの組合で制定している証紙が色々あります。かつては各産地の組合は相当に力があり、それらの組合で制定する証紙は十分に信頼のおけるものでした。
博多織工業組合や、西陣織工業組合、本場結城紬卸商協同組合など歴史ある組合では、その製品の品質保持の為に商品に証紙を添付してきました。
最初に博多織工業組合の証紙について説明いたします。
現在の証紙は、[金]と[青]の証紙があります。伝統的な四角の証紙ですが、小物や生地に添付される丸の証紙もあります。
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現在使われている[金]証紙
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現在使われている[青]証紙
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[金]丸証紙
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[青]丸証紙
[金]の証紙は、その製品が絹50%以上使用している事を示しています。[青]は50%未満であす。使用されている絹の量が50%以上であるか、未満であるかを示している訳ですが、実はこの証紙は平成23年に改訂されたものです。
絹の量が50%以上かどうかは、高品質の製品を求める人にとってはそれ程意味がありません。絹100%であれば「正絹」と言えます。1%でも絹以外の繊維が含まれていれば「交織」と呼ばれます。1%であっても99%であっても同じく「交織」と呼ばれます。[金]と[青]の違いは、絹が50%と49%を区別しています。絹が50%と100%の製品を同じ証紙で保証するのは無理があるように思えます。
平成23年までは証紙の基準が違っていました。それまでは、[金][緑][紫][青]の四種類の証紙が使われていました。
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[金]は、「経糸・緯糸ともに本絹(絹紡糸、酢蚕糸、増量加工糸を除く絹糸)使用の商品」。即ち加工を加えた絹糸を使っていない、云わば本当の絹糸のみを使用した製品に添付されていました。ただし、昔は[金]ではなく[銀]の証紙でした。
[緑]は、100%絹糸ではあるけれども、経糸は本絹、横糸は本絹以外の絹糸が使用された製品に添付されました。
[紫]は、経糸緯糸共に本絹以外の絹糸を使用したものです。
[青]は、絹以外の繊維で作られた商品です。麻や綿などの天然繊維や化学繊維、合成繊維で作られた商品です。
これらの四つの証紙による分類では、使用している素材の面からはっきりと見分ける事ができました。しかし、現在の証紙は、昔の[金][緑][紫]の製品はいずれも[金]の証紙になってしまいます。品質表示が雑になったと言わざるを得ません。
私は大変残念ですが、そのような証紙が博多織の商品に添付されている事を覚えておかれたら良いでしょう。
その他に、伝統的な技法により作られたと組合が認めた商品には、[伝統的工芸品の証]と言う証紙(伝統マーク)が添付して有ります。これは、経済産業大臣が指定する物なので、公的な証紙と言えます。
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また、手織りの製品には「手織之証」と言う証紙が添付されています。
以上が博多織の製品に添付されている証紙です。
つづく