明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-83 得する街のゼミナール「きものの見分け方」(その8)

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 次に、西陣織工業組合の証紙についてお話しいたします。

 西陣織工業組合の証紙は俗に「メガネ証紙」とも呼ばれるのですが、下記のような証紙で、ご覧になった事があると思います。

従来の証紙
新しい証紙

 左が昔の証紙、右が現在使われている新しい証紙です。どこが違うのかと言いますと、昔の証紙は左側に織屋の番号が記しています。この証紙には「353」とありますので「高島織物」と言う織屋さんが織った帯であることを示しています。一方、新しい証紙では、織屋番号は右にあります。「37」は「渡文」と言う織屋です。

 そして、もう一つの違いは、昔の証紙の右には「正絹」とありますが、現在の証紙には「西陣織」とあります。証紙から「正絹」の文字が無くなってしまいました。これは「正絹」と言う表示ができなくなったからだろうと思いますが、この事については後に述べます。

 この証紙は、西陣織工業組合に加盟している織屋が(京都)西陣で織った帯に添付されています。証紙には登録された織屋の番号が記されています。

 この織屋番号は、登録順に付けられたもので、現在最も新しいのは、2565番です。これまでに2565の織屋が組合に登録したことになりますが、暖簾を降ろして廃業した織屋もありますので現在2565件の織屋が有る訳ではありません。

 近年、暖簾を降ろす織屋が多くなり現在(2023年)登録しているのは334件しかありません。ちなみに現在残っている織屋番号を古い方から揚げると、4,6,8,9,13,19,21,29,37となります。1番から3番まではありません。37件中残っているのは9件です。

 西陣織工業組合は当初40件程度で設立されたようです。そこまでは五十音順に並んでいます。(社名を変更した織屋もあるので、現社名では必ずしもそうはなっていませんが)順次加盟した織屋の番号を重ねて行ったようです。

「織屋番号は小さい方が老舗で良い帯を織る」と言う事を聞く事があります。しかし、織屋番号は織屋の加盟順であって設立年次準にはなっていません。ちなみに天分9年(1550年)に創業した西陣で最も古い織屋と言われる紋屋井関は織屋番号が1318番です。

 他にも、琥珀帯で有名な1788年創業の服部織物は259番、古代裂の復元で有名な龍村美術織物は644番です。織屋番号が大きい小さいにかかわらず良い織屋があることは事実です。

 ただし、番号の小さい織屋は昔から頑張って西陣織を支えて来たと言う事実は変わりませんので、それなりの見方でそれぞれが判断すべきでしょう。「この帯は〇番の織屋ですので高価な帯です。」と言う呉服屋の説明は鵜呑みにしない事です。

 さて、先に証紙から「正絹」の文字が無くなった事を話しました。その理由は、私の推測の域を出ませんが、次の様だと思います。

「正絹」と言うのは、正しい絹即ち絹100%を指しています。絹100%とは、絹以外の素材は使われていない事を示しています。

「正絹」の表示がなくなった一つの理由は、製品の品質表示に於いて「正絹」と言う表示が認められなくなったことです。素材の表示は「〇〇糸 ××%」と言う表示が義務付けられました。従来「正絹」「純綿」と言う表示が使われていましたが、これらは「絹100%」「綿100%」と表示しなければなりません。

 それに関連してもう一つ。西陣ならではの理由があります。

つづく

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