明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-83 得する街のゼミナール「きものの見分け方」(その2)

ゆうきくんの言いたい放題

 ある呉服屋さんで商品を見て価格を比べてみます。「この紬は10万円、あの紬は50万円」だとしたら、「価格の高い方が良い物」と言う事はほぼ間違いないでしょう。

 しかし、「この呉服屋さんでは紬が20万円。あちらの呉服屋さんでは同じような紬が50万円。」だとしたら、必ずしも50万円の紬が良い物だ、とは言えない場合があります。

 呉服の価格(小売価格)は小売屋(呉服屋)が決めます。ですから全く同じ商品であっても、あちらの呉服屋とこちらの呉服屋の価格が違うと言うのは珍しい話ではありません。むしろ普通かもしれません。

 呉服屋が価格を決めるのに、その元となるのは仕入れ価格です。仕入れた価格を元にマージンを上乗せして価格を決めます。これはどんな商売でも同じです。

 お菓子屋さんがお菓子を、例えばガムを仕入れて売る場合、仕入れ価格がありマージンを上乗せした価格が販売価格となります。この場合、仕入れ価格はどこの店でも同じで、販売価格も同じです。大概の商売はそのようになっています。

 しかし呉服の場合、まず店によって仕入れ価格が違います。そしてマージンも店によって、あるいは場合によって違います。

 仕入は、小売屋が買い取るのか借りるのか、どの問屋から買うのかによって違ってきます。マージンは店によって大きく違います。手間を掛けて、つまり大々的な展示会を行ったり、イベントが伴うような売り出しでは莫大な経費が掛かりますのでマージンは大きなものとなります。

 従って価格は呉服店によって違い、価格の違いは5倍から10倍になる事もあります。

「きものの見分け方」と言う話をしていますが、ちょっと脱線したように思われるかもしれません。しかし、着物の見分ける場合、この事を理解して頂かなければ大きな間違いを犯すことになります。すなわち次のような事をまず頭に入れて頂きたいのです。

「着物の価値は他の商品と同じように価格に反映されます。しかし、呉服の場合、価格設定は店によってまちまちで、その差は5倍から10倍になる事もあります。従って、同じ店で着物を比べる場合には、その着物の価格と価値には相関関係が成り立ちますが、違う店の商品を比べる場合は、それが成り立たない、価格で判断しようとすると誤る場合がある。」

 こういった事を頭に入れた上で「きものの見分け方」の話を聞いてください。

 さて、きものを見分けるには何を見れば良いのか、価値ある着物とそうでない着物は何が違うのか。価値は価格にリンクすると申し上げましたが、その価格を決定する主な要素は、「素材」と「手間」それに「その他の付加価値」と言えます。

 高価な素材で手間暇を掛けて創ったものは高価になります。そして、もう一つ価格を決める要素に「その他の付加価値」があります。

「その他の付加価値」とは、「作家物」であったり「希少品」であったりします。ただしこれは主観的な価値であって、絶対的な価値とは言えない場合が多いのです。

 今の呉服業界においては、この「その他の付加価値」を強調する事で消費者の目を曇らせようとする事も往々にしてあります。
「これは〇〇先生と言う高名な作家の作品です。」
「この着物には落款が入っています。」
「これは、〇〇と同じ織り方で織られています。」
「この糸は希少な染料で染められています。」
等々、高価な商品の裏付けに付加価値を盾にすることがあります。

 付加価値が付けられるのは高額な商品ですが、高額な商品は、「素材」と「手間」がしっかりとしていなければなりません。しかし、中には付加価値だけで商品をアピールしている場合がありますので気を付けなければなりません。

つづく

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