明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 ゆうきくんの言いたい放題

Ⅶ-83 得する街のゼミナール「きものの見分け方」(その14)

ゆうきくんの言いたい放題

 しかし、市中に出回っている友禅は、それ程高価でないものがほとんどです。それらは手描き友禅と同じように糸目があり、同じような柄が染められています。それらは「型糸目」と言う手法で染められています。この「型糸目」と言う手法は、正に技術革新の賜物と私は思います。

「型糸目」は、型を使って糸目を一気に入れていきます。白生地に型を載せて糊をプレスで入れて行くのです。一つ一つ手で糊を引いて行くのとはまるで手間が違い安く友禅を染める事ができます。

 この手法は何時ごろから使われていたのかは分かりませんが、40年前にはあったように思えます。あるいはもっと前には機械ではなく型を使って手で糊を入れていたのかもしれませんが詳しい事は分かりません。

 40年ぐらい前に始めて「型糸目」と言う言葉を聞き、その商品を見た時には、糸目は随分太かったように思えます。職人や工房によって違うのかもしれませんが、何か違和感を持ったことを覚えています。

 その後、技術の発展は素晴らしい物で、その糸目は随分細くなり、手描きの糸目と違わない様になってきました。現在出回っている型糸目の友禅は、手描きと遜色ないような細さで引かれています。

 しかし、手仕事と機械はその出来栄えにははっきりとした違いがあります。糸目の美しさは線の細さ、細さの均一性だけではありません。手描きには機械では真似のできない暖かさがあります。それは正確無比の機械仕事とは違って誤差がある事です。

 先に「糸目は細く均一な太さが求められる」と言いましたが、逆説的ですが、「手描きの糸目には機械ではできない不均一性がある」と言う事です。

 手描友禅の糸目は正確に引かれているとは言え、人間ならではの若干の揺らぎがあります。その揺らぎが友禅に暖かさを与えています。

手描きの糸目

型糸目

手描き友禅と型糸目の友禅の見分け方のポイントの一つがこれです。

 余りに綺麗な糸目は型糸目の場合が多いです。手描き友禅の場合は糸目の太さにややバラつきがあります。余りに太さに違いがあれば、それは「下手な糸目」と言う事になりますが、それ程の商品は市場にはないでしょう。むしろ若干の太さの揺らぎが暖かさを感じさせてくれます。そのつもりで友禅を見てください。次第に分かって来るでしょう。

 糸目の太さや揺らぎは見分けにくいかも知れません。しかし、もう一つ手描きと型糸目を見分ける決定的な方法をお話し致します。

つづく

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