全日本きもの研究会 きものQ&A
126.略式の喪服では?
質問者
知人のお父様の七回忌の法要茶事のお手伝いをすることになりました。
一つ紋付色無地に名古屋帯をすることにしたのですが、行き帰りのコートはどうしたものかと母親のたんすを探したところ、黒の紋付絵羽織が出てきました。地味な菊の刺繍がしてあります。
亭主の知人からは、
「道中の格好はお呼びしたお客様には見えないので何でもかまわない」
とのことですが黒絵羽織ではおかしいですか? やはり、黒絵羽織は盛装ですか?
基本的なことですみませんが教えてください。
質問者 2
「色無地に名古屋帯」とのことですが、この上に羽織るならば、正規には「不祝儀系色の道行」になります。羽織の場合は黒無地の紋付き。
地味なお色の道行きはお持ちではありませんか?極端に派手な赤やピンク(いかにも慶事向け)でなければ構いません。
ゆうきくん
黒の絵羽織は昭和30年代には盛んに着られました。小中学校の入卒には色無地に絵羽織が母親の制服のようにして着られていました。黒絵羽織は盛装であることは間違いありません。
さて、七回忌の法要に着てよいか、という御質問ですので、段階を踏んでお答えいたします。
まず、今はあまり見かけない絵羽織について躊躇されるかもしれません。前述した通りに黒絵羽織は女性の盛装として着られた経緯があります。それを今着ていけないということはないと思いますが、時代と共に慣習が変る事もあります。これは誰が決める事でもありません。まゆこさんに着ていただければ、黒絵羽も盛装として復権するかもしれません。
次に「地味な菊の刺繍がしてある」と言う事ですが、その絵羽織の柄が法事に相応しいかどうかが問題になります。もともと黒の羽織には無地の黒羽織と絵羽柄の羽織があり、絵羽柄の羽織にも多色を使った華やかなものと黒の漆や刺繍ものもありました。
無地物や後者の絵羽織は主に弔事用に羽織られました。ですから、その絵羽織の柄か法事に似つかわしいものかどうかが問題だと思います。一般的に考えれば、絵羽柄が華やかな物は避けた方か良いと思います。
しかし、七回忌ということですので葬式や一周忌とは違って少々砕けても構わないと思います。それでも真っ赤な刺繍などがあれば避けたほうが良いでしょう。
「道中の格好は・・・」についてですが、色々な考え方があるとは思いますが、どこにいても見ている人は見ているものです。装いはその人の気持ちを代弁します。法要茶時のお手伝いをするお気持で着物を選ばれては如何でしょうか。
質問者
お返事ありがとうございました。とっても勉強になりました。 参考にしたいと思います。