全日本きもの研究会 きものQ&A
148.染色工房について
質問者
私は染色工房(特に長板中型)の弟子入りを希望としています。
工房を探すにはどうしたらよいのでしょうか? 組合などに電話して紹介を得られるものなのでしょうか?
教えてください
ゆうきくん
伝統的な染職人や織職人が減る中で、志のある方がいらっしゃることをうれしく思います。長板染につきましては野口先生に以前お会いしたときには、一人で染めていらっしゃいました。今は息子さんが跡を継いでやっています。
弟子を採ることについては、
「人と合わずに黙々と仕事をしたい人にはぴったりだけれども、設備を造るのも大変だし、四十くらいになって、転職なんて云う事になったらかわいそうだし…。」
とも云っておられました。
先生の窓口になっている問屋に聞いてみましたが、
「まず無理でしょう」
という答えでした。 長板染に限らなければ他に受け入れてくれるところはありそうです。琉球紅型など…。
どちらに致しましても、相当の覚悟が必要なようです。
以前、機を織りたいという方がいらして西陣の某織屋に紹介したことがあります。その時は、織屋の社長さんが会っても良いというので京都に出向かせました。
社長さんは話だけ聞いて帰そうと思っていらしたようなのですが、本人の余りの熱意に負けて採用し、今も続けているようです。職人の世界は(私には分からない世界ですが)熱意と忍耐が物を言うようです。そういう意味では、野口先生のところでも弟子を採らないとは限らないかもしれません。
プライベートな事になりますので、本当にその気がおありでしたらメールを下さい。しかるべきところを紹介できるかもしれません。
質問者
お忙しい中 お返事ありがとうございます。
私は大学で染を学びましたが、自分勝手な現代デザイン・数多い課題をこなすだけの少々手抜き作品でした。
卒業のときは、バブルがはじけ染織業界の就職口はほとんど無く、私は立体にも興味があったので立体造形製作会社に就職しました。
「うちの織の工房に来てもいいよ」
と言われた所があったのですが、その先生はガムをかみながら、私に説明をしていたので行くのをやめました。
ずーっと染織には興味があるので、小さい作品を自分でつくってみたりしていました。大学も自分で学ぶ所だったと約10年経った今では思いますが、もう一度一から本格的な染織をやり、自分のものにしたいのです。
私は今33歳ですが、30歳過ぎて染織の良さがだんだん分かり始めてきたような気がします。年々染織をやりたいと言う気持ちが強くなっています。中途半端な自分に嫌になり、がんばって染織の道に入ろう!と決意しました。
初めて、大学で型染めをした時に、糊を落とし、水槽の中で糊が落ちていくのを、とてもワクワクしたのを覚えています。
私は はっきり言って無口です。こんなに文章が長いですが、これを面と向かっては自分の気持ちをこんなには言えないと思います。モノを作っているとき・絵を描いているときは何時間でも何もしゃべらずつくっています。服が汚れようが、手が汚くなろうが気にしません。立体造形も同じように汚くなりますから・・・。
八王子市は昔、織物の街として有名でしたが、探せば工房はあるのですか? 昔、学生の時に住んでいて、周りには全然工房がありませんでしたから・・・。今住んでいる所も八王子市に結構近いんですよ!
長く工房にいさせてもらいたいですが、1年でも半年だけでもいいです。 弟子をとらなければ、うーん・・・アルバイト?うーん・・・なんか知らないけど工房に来ている人?何でもいいから染織がしたいですね(笑)
お忙しい中 申し訳ありませんが、なにかアドバイスをもらえたらと思います。
宜しくお願いします かおるこ
ゆうきくん
かおるこさんの染色に対する熱意が伝わってきます。
八王子は昔織物の産地として有名でしたが今はほとんどありません。 私も野口先生の工房を訪ねたときに「組合前」というバス停が目に留まり、なぜかさびしい気持ちにさせられました。
「組合」というのは「織物組合」の事で、往時は市の中心的存在だったのでしょう。しかし、今は名前がむなしく残されているのみで、(組合事務所はまだあるのかもしれません)往時の繁栄は微塵も感じられませんでした。
さて、具体的なことにつきましては、野口先生のプライベートな部分にも関することですのでメールをください。もう少しお役に立てるアドバイスできるかもしれません。メールアドレスは下記の通りです。yukikun@ykya.co.jp
参照:「きもの博物館 8. 長板小紋中形本藍染(野口汎先生の事)」
参照:「きものQ&A 424. 機織りの職人さんについて」