明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

152.たくさん質問があります  

きものQ&A

質問者

 はじめまして。 3歳の娘の七五三の着物を縫おうと思ってます。
 
 レンタル着物のカタログなどにある被布を着た写真を見ても何となく好きになれなかったので、袴姿にしようと考えていました。 洋裁は色々やりましたが、和裁は全くやったことがないので、林ことみさんの「はじめてでも縫えるこどものきもの」という本を買いました。
 
 ところが、この本に載っていた被布姿がとても素敵で、袴姿と被布姿、どちらにしようか迷ってます。 また、とても分かりやすい本なのですが、それでも分からないことがいっぱいです。

 袴姿と被布姿、どちらにするか決めかねているのですが、両方を視野に入れて幾つか質問をさせてください。
 
 初めて着物を縫うのに、袷は難しいと聞きました。 胴抜きにしようかと思っているのですが、七五三に胴抜きはおかしいでしょうか?
 
  胴抜きの方が肩上げ部分がスッキリして着やすそうにも感じられますし…。 表地・八掛、共にポリエステル100%の縮緬を使う予定です。 (そもそも胴裏の役目とは防寒以外に何があるのでしょうか?)

 胴抜きでも袖だけは裏を付けようと思ってます。 その際、袖の裏を八掛と同じ生地にして、袖口布を省略しても良いのでしょうか?
 
 八掛は、上部のくけ目が目立ちそうなので、腰上げで隠れる部分まで八掛を付けようと思ってます。 その際、胴裏をはぐのではなく八掛をそのまま腰上げで隠れる部分まで延長しようと思っているのですが、何か不都合が生じるでしょうか?
 
 また、胴抜きの八掛にも、つまみおくみは必要ですか?
 
 後衿ぐりは、指示された縫い代に合わせて適当にカーブを付けて良いのでしょうか? それとも袖丸型のように、衿の型もあるのでしょうか?
 
 衿の型がある場合、子供の着物の衿にも使えるのでしょうか?
 
 袴についても質問させてください。
 
 買った本には、5歳男児用の袴の寸法しか載っていませんので、腰板を無くして(女児用の袴は腰板は付けないで良かったんですよね?)3歳児に合わせて縮小しようと思ってます。

 娘の胴回りと身長に合わせて縮小すれば良いと思うのですが、どれ位縮小すれば良いのか分からないのです。 袴の腰の部分(紐がある部分)の脇は、着付けた時どれくらい開く(あるいは重なる)ものなのでしょうか?

 袴の横からの姿がなかなか見つからず、たまに見つけても、紐がある為、開いてるのか重なっているのかもよく分からないのです。 (拳1個分ぐらい開いているような気はしますが…)

 それが分かれば、どれ縮小すれば良いのか計算できます。
 
 袴に合わせる着物は、丈の短いものを作ろうと思ってます。(「半腰」という名前で良かったでしょうか?) 普通の着物を、ただ短く作れば良いのでしょうか。

 その場合の長さは、袴の脇あきから下の襦袢が見えないくらいで良いのでしょうか?
 
 また、半腰の場合、腰揚げは必要ないですか?(それによっても長さが変わってくるので) 洋裁の様に、出来上がり寸法に型紙を作ってチャコペンシルで印つけをしても良いのでしょうか?
 
 それとも布目に合わせて直接布に印を付けたほうが良いのでしょうか?
 
 あるいは、そもそも和裁は洋裁の用に印は付けないものなのでしょうか?(「縫い代○cm幅で縫う」という説明が殆どでしたので)
 
 実は、別の和裁関連の掲示板でも全く同じ質問を書き込ませてもらってます。 そちらでなかなかレスが付かなかったので、こちらの掲示板でも質問させていただきました。
 
 ご回答頂けた場合、その内容をもう1つの掲示板でも紹介したいのですが よろしいでしょうか? よろしくお願いいたします。

ゆうきくん

 仕立ての細部に関しましては、はっきりとお応えできない部分もございますので仕立て方と相談してRESいたします。少々時間をください。  

質問者 2

 かあさん いらっしゃいませ ゆうきくんの方が遅いようなので、ちょっとだけ。
 
>3歳の娘の七五三の着物を縫おうと思ってます。
作成の意図として「なんちゃって着物で良い」と思われているのか、 それとも「化繊で自作とはいえ、一応本式に近い形で」と思われているかどうかで、お返事の仕方も変わってまいります。


「なんちゃって着物」で良いのであれば、被布ならば、お端折りも肩上げも要りません。袴なら膝丈程のお端折りなしの着丈で十分です。 化繊であれば、ミシンで縫って、被布や袴で隠れる位置で胴抜きにしてミシンでタタいて裏布を留めてしまえば良いわけです。
 
 袴下の着物なら、裾は見えませんから裾は八掛なしだってOKです。 「化繊とはいえ本式着物」にしたいなら、肩上げ、お端折りをつけて、袷仕立のそれ一枚でも着られる着物として縫った方が良いです。袴姿でも男性は半着を着ることもありますが、女性は普通の着物を短めに着て袴をはくわけです。
 
>初めて着物を縫うのに、袷は難しいと聞きました。 >胴抜きにしようかと思っているのですが、七五三に胴抜きはおかしいでしょうか?

「難しい」かどうかという意味では、胴抜きが一番難しいように思います。裾と肩に裏布をつけて、外から見えないようにクケるわけで。手間は大きいです。
 
 また季節が冬になりますので、袷の方がやはり良いのではないかと。 化繊は正絹に比べて冬は寒いんです。 胴裏の役割には「表布を整える」という役割もあります。表地は柔らかいものだと、それだけではなよなよとしてしまうので。
 
>胴抜きの方が肩上げ部分がスッキリして着やすそうにも感じられますし…。
 
 肩部分は胴抜きや単の場合は裏布を付けます。 また、胴裏があっても肩上げ部分がボッテリすることはないと思います。
 
>表地・八掛、共にポリエステル100%の縮緬を使う予定です。
 
 ところで、表地や八掛地は着物反物のソレをお使いでしょうか? 八掛は洋服用の裏地を使うと、ものすごく着崩れします。 洋服の裏地は「滑りをよくする」目的であり、八掛けの適度に滑らないものとは用途が違うからです。

 また、表地を同じ縮緬生地ですと滑りにくく、これはこれで難儀します。 ポリの着物用の八掛地をお使いになった方がよろしいかと。
 
>袴についても質問させてください。
>買った本には、5歳男児用の袴の寸法しか載っていませんので、腰板を無くして(女児用の袴は腰板は付けな いで良かったんですよね?)3歳児に合わせて縮小しようと思ってます。


「腰板のあるなし」だけでなく、女児用は「女袴」といって、男袴とは形が異なります。
 
 これは女袴の載っている本を探した方が良いと思います。 男袴は腰ではきますが、女袴は胸下ではくので形状が若干異なるのです。
 
 また、男袴だと帯は角帯をほとんど膨らまないように結びますが、女袴は半幅帯を文庫かリボン結びにしますので、そのふくれる分後ろ丈を長くしておきます。こんなところも違ってきますので。
 
>袴の腰の部分(紐がある部分)の脇は、着付けた時どれくらい開く(あるいは重なる)ものなのでしょうか?
 
 私の場合は、前腰と後腰が丁度つき合わす位にしています。 ところで、袴のお生地は何ですか?女袴はウールやカシミヤですので、 ウールかウール風の化繊を使われるとよろしいかと。
 
>洋裁の様に、出来上がり寸法に型紙を作ってチャコペンシルで印つけをしても良いのでしょうか? >それとも布目に合わせて直接布に印を付けたほうが良いのでしょうか? >あるいは、そもそも和裁は洋裁の用に印は付けないものなのでしょうか?(「縫い代○cm幅で縫う」という説明が殆どでしたので)
 
 今回は化繊のお生地ですので、チャコを使われてもかまいません。
 
 和裁の場合は型紙は作りません。しるしは糸の切目付けか、ヘラでつけます。 正絹だと、濡らしたりできませんのでチャコが落とせないからです。 そして、布を切るのは、ほとんどが横方向で、衿とオクミを縦半分に切る程度だからです。
 
 洋裁系の本で「着物を縫おう」「浴衣を縫おう」という欄では、洋服地を使って型紙を置いて裁断するように説明しているものもあります。 一度やりましたが、これはものすごく面倒臭いと思いました。

 なにしろ、身長の二倍の量が身頃に必要ですので、場所を食うので。 2回目からは、洋服地の場合は、身幅+縫い代(子供だと1尺はいらない)で縦に切ってから必要な長さを切り出すようにしました。しるしつけはその後に。

「素人が化繊で縫う」という意味で、仕立士さんの多分気づかないであろう点だけ述べてみました。 参考にしてください。

ゆうきくん

「胴抜き」について
「胴抜き」というのはご存知のように、袷の着物の胴裏を付けないものです。
 
 きものの形式として「胴抜き」というのはありません。
「袷を着なくてはならないけれども暑いので」
胴抜きというものができました。袷のシーズンでも室内の温度が上がったための産物のようにも思えます。
 
 したがって、「胴抜き」はあくまでも「袷」のきものと考えてください。七五三に胴抜きでもおかしいことは全くありません。 肩上げに関しては、肩の部分が単衣になりますので少々量感が無くなるかもしれませんが問題はありません。
 
 胴裏は防寒の役目です。 袖は普通袖口布だけを付けるのが本当だと思います。色物の八掛地を袖の総裏に付けますと、袖口と振りが同じになってしまいますので。八掛を上まで延長しても不都合はないと思います。
 
 すみません、勉強不足で「つまみおくみ」という言葉がわかりません。「おくみの褄」のことでしょうか。「胴抜き」はあくまでも袷ですので「おくみの褄」の事でしたら必要です。衿の型というのはありません。
 
 袴については大体それで良いと思いますが、厳密に言うと男用と女用の袴は形が違います。腰板を取っただけではありません。後ろにもひだがあります。参考までに図解を添付します。
 
 弓道をなさる方など袴用の丈の短いきものを作ります。おっしゃるとおり、脇から見えない程度の長さに仕立てるのですが、正式にどの長さと云うことがあるのかどうかはわかりません。

 チャコペンは呉服では通常使わないと思います。私が小さい頃、縫い子さんの針箱にそのようなものが入っていたような気がしましたので聞いてみましたが、ウールやセルなどを仕立てるときに元禄の丸みなど一部用いることがあったようです。正絹には使いません。

質問者 2

「つまみおくみ」は、オクミを別布にせず、前身ごろと一続きの布で裁って、縫い代分を「つまんで」縫う手法ですね。四つ身までにはこの方法が取れます。もちろん、別布にして仕立ても問題ありません。

 でご質問の件ですが、この「つまみおくみが必要か」という意味でしょうか?それとも、「つまみおくみに八掛けが必要か」の意味でしょうか。 断ち方と縫い方の問題で「おくみ」は「おくみ」です。 ですから、「おくみ」そのものも、その裏の八掛けも必要です。

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参照:「きものQ&A 51. 十三参りの着物」

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