全日本きもの研究会 きものQ&A
18.「抱き幅通し」って何ですか
質問者
私は長身でバストよりヒップが小さいのですが何度かお仕立てを頼んでいる呉服屋さんに 寸法表をもらったら、抱き幅通しと書いてありました。 和裁の知識がないので、教えていただけないでしょうか?
それから、 長身で、バストが大きく、腰高なのですが、 美しく見えるお仕立ての秘密はありますか?
ゆうきくん
「抱き幅通し」という言葉は始めて聞きます。「前幅通し」という言葉は使うのですが、こちらは前幅と抱き幅を同じくするという意味です。(添付図参照)
同じような意味に使っているような気もするのですが、和裁用語は地方により、裁縫所によって異なりますのではっきりしたことは言えません。その仕立て屋さんに聞いてみるのが良いでしょう。
日本のきものの前提について申し上げます。
日本のきものは洋服と違って女性の美しい体の線を出す衣装ではありません。直線裁ちを基調として、洋服のような立体裁断を駆使して個人個人の体形を極限まで表現することはできません。
昔はバストの大きい人は晒で抑えたり、腰に晒を巻いて補正していました。きものは、やせた人も太った人も体形の崩れた人も誰でも美しく着こなせる衣装とも言えます。
歩く姿を美しく見せる為に前幅を狭くすることもありますが、前幅を狭くした場合正座した時に着にくくなります。
そのように直線裁ちのきものは、基本的な寸法を無理に変更した場合どこかに歪がくると思ったほうがよいでしょう。
御質問の意味は二つに解釈されます。
一つは如何にして身体の線をきれいに出すことができるか。これについては上述の通りです。
二つ目はバストの大きい人が着易い寸法は?ということでしょう。これにつきましては「おくみ幅」で触れていますのでご参照ください。
着易い着難いは主観的な面が多分にあります。衿をきつく合わせる人と緩く合わせる人では体形が同じでも寸法は微妙に違ってきます。
着易い寸法は仕立てをする呉服屋さんか仕立て屋さんに直に相談するのが良いでしょう。
以上、答えになっていないかもしれませんが・・・。
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参照:「きものQ&A 2. 衿下の寸法と採寸」
参照:「きものQ&A 430. 着物の胸周りが大きすぎるのですが」