全日本きもの研究会 きものQ&A
192.特徴
質問者
こんばんは。いつも丁寧なご回答ありがとうございます。
塩沢紬、本塩沢、ちりめん、ちぢみのちがいがはっきりわかりません。 ご教授いただけませんでしょうか?
ゆうきくん
呉服の用語はたいへん曖昧な使い方をします。(きもの春秋1.難解なきもの用語参照)
ご質問の「塩沢紬」「本塩沢」「ちりめん」「ちぢみ」は。同列では語れません。
まず「ちりめん」と「ちぢみ」についてお話します。 「ちりめん」とは縮緬と書いて、強く撚りを掛けた糸(強撚糸)で織った生地を言います。生糸に強い撚りを掛けますので、精錬すると撚りが戻り、表面に凹凸のあるシボができます。右撚りと左撚りを交互に織り込むのですが、その本数や糸によってシボが異なり、様々な生地ができます。風呂敷に使う、いわゆる「ちりめん」はシボの高い「鬼ちりめん」と呼ばれるもので、数ある「ちりめん」の中の一つです。襦袢に良く使われる「綸子」はシボが目立たないのですが、これも強撚糸を使った「ちりめん」です。広い意味では、きものに使われる生地の多くは「ちりめん」と思って差し支えありません。
ちなみに、きものに使われる「ちりめん」以外の生地には「羽二重」「お召し」「紬」があります。
「お召し」は「ちりめん」と同じ様に強撚糸を使い、糸を染めてから織られますので「先染めちりめん」と呼ばれることもあります。最も広い意味では「お召し」も「ちりめん」といえるかもしれませんが、一般的には区別しているようです。きものの用語には定義がありませんので、人によって使い方がまちまちですが、基本的には上記のようなことです。
「ちぢみ」はその名の通り、生地の表面を縮ませたものです。縮緬と同じ様に、強撚糸を使って表面にシボを作って縮ませるものですので、定義どおり、言葉通りに捉えれば「ちりめん」も「ちぢみ」といえるかもしれませんが、一般的にそういう使い方はされていないようです。「ちぢみ」というのは具体的な接尾語に使われることが多いようです。「○○縮み」といったように、生地の種類ではなく固有の織物を表すことが多く、そういう意味では「ちりめん」と言う言葉とは性質を異にするように思えます。
「塩沢紬」と「本塩沢」の違いは明白です。「きもの博物館49」を参照していただければ分かりますが、「塩沢紬」は紬糸を使って織られた塩沢の紬です。紬糸ですので結城紬などと同じく縮んだりすることはありません。「塩沢紬」はいわゆる紬です。
「本塩沢」は紬糸ではなく生糸を使った先染の、いわば「お召し」です。私は違いをハッキリさせるために「塩沢お召し」と説明することもあります。シボがあり、「ちぢみ」という範疇にも入らないことはありません。しかし、「塩沢縮み」と表現することは余りないと思います。
呉服用語は曖昧です。現物を見ながらお話すれば分かると思いますが、難解かもしれません。よくお分かりならなければ、また質問してください。