全日本きもの研究会 きものQ&A
20.袴って
質問者
袴をはいている人は(着るというのでしょうか)卒業式と球技と宝塚以外見た事がないのですが、それ意外の場の女性用の袴って あるのでしょうか。また、女性用の袴にはいろいろな種類がある のでしょうか?
袴はロングのひだスカートと似ているし、(私は四季を通して ロングスカート)活動的でブーツも合うし(冬はいつもブーツ) なにか親しみを感じるのですが、はかまを街着にしている人なんてみかけません。それに、本当 の街着でしたら、卒業式用よりもひかえめに、ややひだが少ない ぐらいでもいいと思うのですが、袴の分野ってどうなっている のでしょうか。教えて下さい。
ゆうきくん
袴は男子の正装用の下衣ということはご存知でしょう。その源は古墳時代にまで遡るそうです。
女子の袴は平安、鎌倉時代には正装として用いられ、その後途絶えて明治になって復活しました。明治20年に皇后の婦女服制についてのおぼしめし書にもとづいて華族女学校の制服として採用されたことに始まるそうです。それを民間の女学校が見習ったものでしょう。
男子の正装として用いられていた袴を女学生が用いたというのは奇異な感じもしますが、水兵の服装だったセーラー服が女学生の制服となったのと相通じるものがあるように思えます。
男子も女子も袴は正装として用いられ、街着として用いられた例を私は知りません。今のところ私の知る限り、私の感覚の範囲では袴を街着にするという発想は生まれてきません。
今後、袴が街着になるかどうかは分かりません。 私の感覚では「袴を穿く」ことは「気持ちを引き締める」ことに通じるように思えますので・・・。
男子の袴の種類は大きく分けてマチ付袴と行灯袴があります。マチ付は股にマチが付き、行灯はマチがないプリーツスカートのような袴です。特殊な仕立ての袴として仕舞袴、給仕袴、伶人袴、馬乗袴などがありますが、いずれも仕舞をする人や神主などの特殊な袴です。
女子の袴は女子用の行灯袴しか見たことがありません。
仕舞い用の袴などで流派により特殊な袴が作られているかもしれませんが一般的には一種類だと思います。
「ひだの少ない・・・。」のご意見ですが、きものの場合デザイン(形)に手を加えるのは難しいと思います。日本のきものは洋服とは違って形は一定という性質があります。留袖から紬まで基本的なきものの形が同じであることを考えていただければ分かることだと思います。きものには形でおしゃれを競うということは今までなかったように思えますので・・・。
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参照:「きものQ&A 363. 袴は直せるのでしょうか??」