全日本きもの研究会 きものQ&A
204.6月の結婚式
質問者
6月11日の同僚の結婚式に招かれています。
時間をかければ自分で着付けが出来るので家から着ていきたく、単の着物を着ていきたいのですが、単の着物は本塩沢の訪問着か、万筋の江戸小紋(紋なし)しかもっていません。
お茶を習っているので訪問着は各種持っているのですが全て袷で、6月に外を歩くのは暑苦しいし、ホテルに付くまでに汗みどろになりそうで・・・・ 同僚(花嫁)の母や妹達は袷の留袖や振袖、訪問着を着る予定らしいのです。(あまり着物には詳しくないようです)
6月の単を重視すべきか、結婚式に塩沢はまずいのか、どう考えれば良いでしょう。
先方に失礼にあたらなければ塩沢を着たいのですが・・・・ その際、帯はどんなものが良いのでしょう。夏用は芭蕉布の染帯や麻帯、すくい織の袋帯、絽つづれなどを持っています。夏用ではないですが、ちりめんや塩瀬の染帯をあわせてもいいのでしょうか?
色々すいませんがよろしくお願いいたします。
ゆうきくん
話が非常に複雑です。一言でお答えできませんし、私が断定的な事をいえる立場でもありません。それを頭に入れて聞いてください。
ご質問の内容は、整理すると次のようなことだと思います。
1. 6月は単にこだわるべきか
2. 結婚式に塩沢(紬)は着てもよいのか
3. 帯は何を合わせたら良いのか
教科書通りにお答えすれば 、
「6月の結婚式には単の紋付を着てください」
「塩沢は着てはいけません」
「帯は格のある紗袋帯をしてください」
ということになるかもしれません。しかし、実際にはそうでないところが難しい処です。
「上記のきもの以外は着ては行けないのか」
「上記のきものを持っていなければ6月の結婚式にきものを着て出られないのか」
ということになってしまいます。
「何を着てゆくべきか」
を決定するための要因は沢山あります。
「6月の結婚式に出るには…」
と漠然と命題を与えられれば、上記のような教科書的な答えになるでしょう。しかし、実際の結婚式には、様々な要素が交錯します。
・ 結婚式、披露宴は昔の仕来りの厳かなものなのか。
・ 6月と一口に言うけれども、どんな気候条件なのか。(北海道と九州ではかなり違います。)
・ その地方の仕来りはどうか
・ ご両家の仕来りはどうか
・ どのような立場で出席するのか
等等… ですから私は断定的なことは申し上げられません。
まず、6月は単か、と言えばやはり単が本当でしょう。ただしもっていない場合、特に留袖などは着て良い悪いの問題ではなさそうです。
6月初旬でしたらまだ肌寒い日もあります。あるいは真夏の様に暑くなる場合もあるでしょう。式が厳粛で、地方の仕来りも厳粛と言う場合もあるでしょう。単が原則ですが、袷を着る場合は、そのようなことを加味して、着ようとするその袷の着物がその場にマッチするかどうか考えられたらいかがでしょうか。
塩沢の着物については、何とも申し上げられません。私個人の意見としては反対ですが、やはりその場に合うかどうか、状況を加味して判断してください。尚、私の紬の訪問着についての考えは「続きもの春秋3.紬の絵羽(訪問着)について」を参照してください。
帯の合わせ方については、
「塩瀬の単の訪問着にする帯」
ということで、お答えします。それが結婚式に適っているかどうかは別問題です。
芭蕉布、麻、すくいの袋帯、塩瀬の染め帯、いずれも締めて悪いことはありませんが、訪問着ですので、シャレ帯の中では重い方が良いと思います。現物を見なければ分かりませんが、涼しそうなすくいの袋帯などどうでしょうか。単ですので涼しげなものを、紬ですのでピカピカしないものをお奨めします。
余り的確な答えになっていないかもしれませんが、分からなければまた質問してください。
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参照:「きものQ&A 306. 七月の結婚式」
参照:「きものQ&A 350. 結婚式にこの着物はダメでしょうか?」
参照:「きもの春秋 5. きもの(着物)のしきたり」
「きもの講座7. きもののしきたり、日本のしきたり」
「きもの春秋終論 Ⅲ. ⅰ常識・しきたりとは何か」
「きもの春秋終論 Ⅲ. ⅱきもののしきたりは誰が決めるのか」
「きもの春秋終論 Ⅲ. ⅲ本当のきもののしきたりとは」
「きもの春秋終論Ⅵ. 26.再々・・・度、着物のしきたりについて」