明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

235.仕立て直しの法則

きものQ&A

質問者

 もう既に何かに仕立てあがっているものを、別のものに作り変える場合、 何から何へなら可能なのでしょうか? 着物→羽織 着物→コート(道行・道中着) 着物→帯(袋帯・名古屋帯) 可能な場合、絵羽柄でも大丈夫でしょうか?
 
 最近、アンティークにはまりだして、 昔着物で羽織(出来れば絵羽タイプで)・帯を作れないかと思いまして。 また、そういう場合、通常の仕立て賃よりも高くなりますか? (解き湯のし等は別として)
 
 それと、もうひとつすいません。 アンティークの染み抜き・洗いなどは、 着物洗いの有名店と、アンティーク専門店、 どちらに出すのが良いでしょうか?

 アドバイスよろしくお願い致します。

 

ゆうきくん

 きものは一枚の布から直線裁ちで仕立てていますので、仕立て替えに鷹揚なことが洋服とは違うところです。とは言っても、何にでも仕立て替えられるわけではありません。
 
 要尺が足りなければ仕立てられないと言うことはお分かりいただけるでしょう。子供の四つ身を大人の着物に出来ないように、要尺が足りなければ仕立てられません。
 
 要尺がある場合(というよりも布の面積が足りている場合)は仕立替えが可能です。と言ってもこれは広い意味で仕立てが可能だと言うことです。
 
 大変回りくどい言い方ですが、『仕立替え』という言葉自体の定義をはっきりとさせなくてはなりません。
 
 新品の反物から新調するように仕立てることを前提とすれば、仕立替えられる範囲は狭くなります。しかし、昔からきものを仕立て替える時にはあらゆる工夫をしてきました。つまり、少々無理があっても見た目に耐えられるように仕立替えをしてきました。
 
 さて、えみさんの質問にある三つのケースを考えて見ますと、前者のように新品同様にし立て替えられるかと言われますと、答えは全てNOです。 しかし、「何とか仕立替えられますか」と言われればいずれも仕立替えが可能です。
 
「着物→羽織」の場合、羽織の衿はきものの衿よりも長いので、衿にハギが入ります。通常、背の中心に入れます。
 
「着物→コート」の場合、竪衿の裏にハギが入ります。
 
「着物→帯」の場合、長さを継がなくてはなりませんので、ハギが入ります。

と言うわけで、ハギが入るのをどの程度許容できるのかということが仕立替え可、不可のポイントになります。
 
 十三参りのきものを大人用に仕立てるのに、余り布がなかったので、掛け衿の裏の衿を欠いて帯に隠れる部分に接いだこともあります。
 
 仕立替する場合には、仕立屋さん、または呉服屋さんに現物を持ち込んで相談してみるのが一番良いでしょう。
「仕立て替えができるかどうか」
「ハギが入るとすればどこに入るか」
等等、納得して仕立て返されるのが良いと思います。
 
 絵羽については、縫い合わせる場所が決まっていますので、そのまま利用するのは難しいのですが、上記のように絵羽をどのように利用するのかは呉服屋さんと現物を前に話せばよいでしょう。
 
 絵羽のきもので染帯を仕立てれば、ひょっとして面白い帯が出来るかもしれません。 私の店では原則、仕立て代は同じです。ただハギが入ったりすれば若干高くなる場合があります。
 
 染み抜きや洗いなど何処に出したらよいか、というご質問ですが、
「私の店が一番安く、間違いありません」
としかお答えできません。

参照:「きもの春秋終論 Ⅵ-28.これから着物とどう付き合うべきか 」
参照:「きもの春秋終論 Ⅵ-12.着物との本当の付き合い方とは」

 

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