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全日本きもの研究会 きものQ&A

248.春秋[中高年の振袖]:長文 

きものQ&A

この欄は「続々きもの春秋21.中高年の振り袖」について投稿されたものです。

質問者

 いつもお世話になっております。「新きもの春秋4.中高年の振袖」の記事への感想です。
 
 袖の長さが少し長い程度は良いかなと。例えば、背の高い従妹は訪問着でも1尺5寸袖を使っています。私が着ると確かに長いですが、彼女が着る分には長いとは感じられません。
 
 さすがに2尺は長いと感じますけど、少し長いのは全体の釣り合いから考えて構わないというか、裄が長い場合、袖丈も長くないと釣り合いがとれないと思います。そういう意味では1尺3寸にこだわらないってのは良いことだと思います。
 
 でも、こちらの中高年の振袖はそういう意味ではないですよね。
 
 私は、
「結婚したら振袖は着ない」
という考え方ではありません。
「オトナになったら着ない」
だと思います。形から入る心持ち、矜持ってものがあるんじゃないかな。ただし、オトナになるのはいつ、つまりいつから振袖は着ないのか、はその人の考えでよいとは思います。
 
 例えば、成人式はこれから「オトナになる」=振袖を着納めとして着る。最近の二十歳は子供っぽいです。昔の8掛という説もあります(20は16才なみというわけ)。ですから、「就職したらオトナ」「結婚したらオトナ」「子供ができたらオトナ」、人それぞれでいいのでは? 
 
 極端な話、結婚して子供がいて30になっても自分は子供だと思えば、着ていても良いのではないでしょうか?
 
 ただし、その場合、一人前のオトナ扱いされなくても、文句は言ってはいけないでしょう。 それから、変なものを例に挙げて振袖を勧めるのは悪いことと思います。
 
 舞台衣装うんぬんに関して、、、 着るものは、洋の東西にかかわらず、場とその人の立場をわきまえて考えるのは大事であると考えます。たとえば、私は先生としての立場なら袴を着用して学校に行きますが、母親としての立場なら学校に行くときに袴をはいていくようなことはしません。
 
 同じことで、舞台衣装であれば、中年でも老年でも振袖でもなんでも着るのは正しいですけど、立場が変われば、たとえば、同じ人でも親戚の結婚式では振袖は着ない、そういうもんでしょう。で、普通の中高年にそんな振袖着用の機会があるかどうか、ないのでは?

 紀子妃殿下は、、、 妃殿下は学生も学生、心理学のまだ修士課程在籍中での結婚です。振袖でもいいのではないですか。それが証拠に、外交職務や公務をしていて長く社会人であった雅子妃殿下や宮様は結婚後に振袖で国民の前に表れるなどなさっていませんよ。
 
 しかも、紀子妃殿下の親御さんは大学の先生で、大学の官舎に住んでいるのですから周囲も似たような人ばかりです。考えてもみてください、大学の先生というのは、大学に入って以来、出たことにないのです。たまに、社会人経由の人もいますけど、ほとんどが「社会を知らない人間」。大学の先生なんて、専門バカ集団、だからこそ存在意義があると私は思っているくらいです。(だから、私の言うことも、非常識なことが多いとは思いますので、ご指摘ください)
 
 それ以前に、そもそも私たちが着用する「着物」の習慣は宮廷の習慣ではないです。皇室は我々とは違う習慣があるわけで、例にするのは無理があります。宮家がこうだから私もそうするなんて発想、私は嫌ですね。ですから、ゆうきくんのお話にあった、武家は五つ紋だが、商人の我が家は三つ紋である、という商家の誇りの話などは好きです。
 
 松園さんに関しては、、、、 画伯は女流画家というだけで十分変人扱いの時代に筋を通された、偉大な先駆者です。そして、未婚の母です。振袖や婚礼衣装に関しては何を思われたのか、いろんな思いがあったと想像します。それに、「15でねいやは嫁に行き」時代、子供が子供を産むようなことも多かったのです。
 
 成長期の間に胎児に栄養を取られるのは、自身の成長を妨げます。医学的に言っても子供が出産は良くないことです。女性の人権を尊重する現代社会で許されるものではない、と私は考えております。
 
 玄人はだしに生物への造詣の深い敦之先生(鳥の絵でも、お父上の絵とはそこが決定的に違いますよね)が、子供が子供を産む悲哀を無視して、そんな宣伝におばあさまの絵が利用されているなんてことをお知りになられたら、なんと思われることでしょうか。
 
 まず問題は、呉服業界は「成人式に振袖を」って宣伝してますよね、あと何年も使えない着物を作ってどないすんねん? 不思議です。
「もったいないからいいオトナでも、振袖を着る」
なんてことが起きたと推理します。

 とすれば、呉服業界も中高年に振袖なんてことを考えるなら、10代の振袖に力を入れてくれたら良いのに、、、ってのが個人的希望です。
 
 実はそれで困ったんですよ。娘の十三参りの着物にいいものが見つからない。小紋柄で2尺袖の「ちょっとよそ行き程度の振袖」なら、それなりの柄のできあいの大人用の小紋着尺でなんとかできたのですが、正式な席に使える礼装の振袖となりますと、本当にありませんよ。七五三用と成人式の大人っぽい振袖はあっても、まさに振袖が似合う10代の少女に合うものがないです。
 
 仕方ないので、反物から染めてもらいました。できあいですますのではなく、染めからお願いするのは正道ですし、安くつくんですが、、、、実際、学生時代は貧乏だったので、反物からお願いすることを私もやっていたのです。ただ、忙しいこともあって、「面倒だな」って思ってしまうんです。(それが現代人の良くないところなのは重々承知の上)十代を想定した着物が流通してくれていると助かるなあと、思ってみたり。
 
 ただし、ここでも別に問題があって、誂えって難しいです。私の場合、学生時代も、下宿してた大家さんが出入りの呉服屋さんを紹介くださったので、反物から誂えることもできました。
 
 今回の娘の振袖も信頼できる呉服屋さんがなかったら、反物から誂えるのは難しかったと思います。 この「呉服屋さんがない」ってのが一番の問題かなと。と言うわけで、ゆうきくんさんもがんばってください。
 
 ついでに呉服屋さんへの希望を書いてしまいます。絽の振袖がないです。袷や単の振袖はまだ生地があるのでなんとかなりますが、絽の振袖生地や絽の振袖襦袢は、見つけるのが困難では?
 
 少女に訪問着なんて、、、かわいくないです。まさか、こんなことになるとは思ってもいなかったので、自分のを袖を切らずにとっときゃ良かったと後悔しています。昔はちゃんとあったんですよ、それなのに。。。中年に売る前に、絽振袖にも呉服業界が力を入れてくれれば良いのに、と希望しております。

質問者 2

 初めての投稿です。
 
 興味あるサイトに出くわしたと、ワクワクで、拝読した中にあれ? と思う題目が。
 
 ここ数年、「紬の訪問着」というのが巷に流れています。 着物にはルールがあって、格があって、「だから」着物が好き。というマニュアル派からそのルールが堅苦しくて、という経緯があり、「黒の紋付羽織」が流行った時期。また、羽織りは「男着」だけなので、世間を「化かす」ために太夫さんが「男=いまでいうニューハーフ?」に化けるための小道具。
 
 そんな歴史があって、「普段着」に紋付であろうが、春雨やミゾレには普段着にヒョイと袴を履く、便利な癒しの着物を好いている私など。「商人の知恵」で、あれこれ「売っておくれ」と願う訳で。お店をされている方は「伝統的」がお好きなのか「革新的」がお好きなのか?「売れば良いってものじゃないでしょ?」と仰るでしょうが。
 
 購買者とすれば、振袖もいいじゃない?とは思うもの、これ、 コスプレの粋を越しませんね=品が無い。 着物に品格を求める一般・中高年は多分振袖は着ないでしょう。
 
 ところで中高年とは何歳から? 社会保険業界では50代からでしょうか? また、中年の定義がイマイチわかりませんが、高齢が65歳で認定されているでしょうから。ならば高齢の60歳から振袖を着られる方がいらしても「もう、好きにしたら?」という範囲ではないでしょうか?
 
 個人的趣味でいうと、ソバージュが流行った時代30代くらいだったろう今の50代後半から60代の方のソバージュは「いただけない」。 ましてやスリムパンツに腰丈ブラウスのマッチングで光物ジャラジャラはそれこそバブルの産物と。。。

 その方たちから高齢者が振袖をお召しになる(としたら)日本経済と高齢化社会はすごい、余裕のある生活ができる環境と思われます。
 
 じつは、30代の時代ファッションで若返らねばならぬ、しかも家でも活動的な姿、また、外出時にも着替えせずにファッショナブルに(見えるでしょう?の期待)、とそのままの服装で毎日過ごす高年の方が果たしてどのくらい振袖に目をむけるのか? では中年とは幾つから?30台後半? そういえば、 正論ですが、婚礼後1年は振袖着用OKと聞いています。
 
 ですから、美智子皇后も振袖、ではなく中振り袖で里帰りされたと思いますが(定かではないのでごめんなさい)。ちなみに雅子さまは一般人の結納の時が七五三依頼2度目の和服と報道されていたと思います。
 
 中年の振袖に話を戻し。 中年世代ですと、着物=オシャレ=ゴージャスを期待されるのであれば振袖OKとなれば、着用するかもしれませんね。但し、新たに購入するかというとどうでしょう?何のために?

 振袖着用といえば、公式行事ですから、多大な人の目、親戚の目、あえて着用することは無いでしょうね。
 
 苦しい着物業界の裏を見たような気がします。
 
 一昨年、母が買い置きしていた反物の中にあった白反物を小振袖に作ってもらいました。兄の娘が今年成人式ですし。実際には母からの最後のプレゼントとなってしまい。母が亡くなって1ヶ月ほど後にその小振袖は仕上がってきたのですが。また、着てほしい姪は多分成人式には出席しなかったのでしょう、着物に対しての問い合わせは来ませんでした。人の思いはそれぞれに。でも、着物って反物で存在するより、着物になってからの方が夢が広がりますね。
 
 中高年の振袖は、着るため以外の目的で購入される方が多くいらしても良いのかもしれません。(長文失礼しました)

質問者 3

  初めまして。 この件で気が付いたのですが、現在和の礼装ルールには 「未婚で年輩の女性が着る第一礼装」が想定されていません。 振袖は若い未婚の女性が着るもの、 留袖は既婚女性の第一礼装、としたら、ある年齢を越えた未婚女性には和服の第一礼装がありません。 これは新しいルールが必要ではないでしょうか。

質問者

>ある年齢を越えた未婚女性には和服の第一礼装がありません。
>これは新しいルールが必要ではないでしょうか。

 私は「色留袖」が未婚の年配女性の第一礼装だと聞いております。実際、親戚の未婚の大叔母が着ていたのを見たことがあります。一地方の習慣かもしれませんので、違ったらすみません。

質問者 3

 レスありがとうございました。
 
 私も改めて調べてみましたが、 色留袖は未婚でも良い、という説もあるようです。 特に、呉服屋さんはそれを勧めているようです。 勉強不足でした。

 気に留めていただき、ありがとうございました。

質問者 3

 失礼します。 中高年に振袖を売り込むこと自体は、私は構わないと思います。
 
 若者向けに作った着物が余ったから年寄りに押しつけよう、 というなら問題ですが、 中高年に似合う振袖とはどんな物か、真剣に考えて 新しい着物を作ろうというなら、良いことだと思います。
 
 既婚者や年輩の方が振袖を着ることによって、
「振袖を着る=色気づいてる、男を誘っている」
という 着る人に失礼な俗説が駆逐されるなら、むしろ朗報です。親は安心して、年頃の娘に振袖を着せることが出来ます。
 
 また、昔から洋の東西を問わず、 「身にまとう布の量が多い」というは富貴の象徴です。 裕福な中高年者が袖の長い着物を着るのは、その意味では自然です。

 ただ、振袖の本来の役割は 「子供の体温を調節するための通気口」ですので、 その面では確かに年輩者向けではないかもしれません。

参照:「続きもの春秋 5. 振袖について 」

 

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