全日本きもの研究会 きものQ&A
261.告別式は?
質問者
教えてください。
お葬式に着物を着るのは身内のみなのですか?
嫁ぐときに夏冬と2枚も作って持たせてくれたので機会があれば(あまりないほうがいいのですが)袖を通したいと思ってました。が、、、お身内の方でさえ黒のワンピースですとチョット躊躇われます。帯の色を変えても 着物というだけで視線がキツイのでしょうか?
ゆうきくん
「お葬式に着物を着るのは・・・」
この「着物」というのは「黒紋付」「喪服」を指しているのですね。そのつもりでお答えいたします。
「喪服」はその名の通り喪に着る着物です。お葬式というのは弔事の中でも一番の弔事(変な言い方ですが)です。昔は(そう遠くない昔です)お葬式に参列する人は皆喪服を着ていました。
洋服がまだ一般的でなかった時代を想像してみればわかると思いますが、お葬式の時、喪服以外に着るべききものがあったでしょうか。色無地を着ていた人もいたそうですが、その場合は黒の紋付羽織を着ていました。
当時は参列者のみならず、手伝いの人達が着る紬の喪服もあったと聞きます。
お葬式には身内の者だけが喪服を着るということはありません。
しかし、昨今洋服が一般的に着られるようになり、見方が変わってきているようにも思えます。
母が葬式に喪服を着て行ったところ、
「身内でないのに喪服を着るのですか?」
と言われたそうです。また、葬式に黒やグレーの江戸小紋に黒の帯を締めるも見かけます。
そういった傾向は洋服、ブラックフォーマルが普及してきたことと関係がありそうです。やはり着物は洋服よりも上、という意識があるのでしょうか。そうだとしたら喜ばしいことでもあるのですが、着物を着るのは身内だけという意識もそのあたりから出ているように思えます。
さて、
「葬式に喪服を着て良いのか」
についてですが、昔から着られてきた喪服ですので、葬式でお召しになるのは一向に構わないと私は思います。しかし、着物には定まったルールはありません。亡くなられた方に敬意を表して喪服をきるのですからそれはそれで良いのですが、時代と伴に、
「喪服は身内の人が・・・」
という意識が高まっているのは残念ながら事実です。
「着て良いのか、悪いのか」
という議論はなじみませんし、私はじめ誰もそれに結論を出せる人はいないでしょう。(結論を出す人がいるので混乱しています。)
上記のような答えしか出せませんが参考にしてください。
質問者
丁寧にお返事いただき またご意見いただき有難う御座いました時代の流れも取り入れながら、それでも着物の生活を大切にしていこうと思います。
相手様に礼を尽くす、、少し薄れかけてた心です。気をつけます。 ありがとうございました。
質問者 2
はじめまして、着物大好きの独楽と申します。 ゆうきくんの後に書き込みさせていただきます。
私もお葬式は身内のみと聞いたことがあります。 それはこちらのように着物ファンの集まる掲示板でのことですが、 どこにそんなルールがあるのだろう? と、その線引きは誰がしたのだろう?と考えることしばしばです。
その話とは別に、私の知り合いが、 日本での冠婚葬祭で着物を着ている人は、着る洋服の無い人。と外国で日本文化を紹介していた事に出くわしたことと、相まって、笑いが込み上げたその価値観の違い、というか、生活環境の違いに、驚きもしました。その上で書き込みしています。
>教えてください。お葬式に着物を着るのは身内のみなのですか?
ヨシさんはどこからそのような”常識”を持ちましたか?
>嫁ぐときに夏冬と2枚も作って持たせてくれたので機会があれば(あまりないほうがいいのですが)袖を通したいと思ってました。が、、、お身内の方でさえ黒のワンピースですとチョット躊躇われます。帯の色を変えても 着物というだけで視線がキツイのでしょうか?
時節柄、酷すぎる雨や嵐の日以外には、お通夜の場合、半幅に羽織りを着たり、告別式には和装の喪服を着て行きます。大勢さんがいらっしゃる場合、なぜか奥へ通されます、それは身内と思うからでしょう。それ以外、キツイ視線というものは感じたことはありません。
反対に、
「お忙しいのに、お支度いただきありがとうございます」
と、改めてお礼いただいた場合はあります。 私は、礼を尽くした装いとして和服着用は日本国内でも諸外国へ出かける場合も意味をわかって下さる方には感謝していただいてくださっています。
1980年ころまではたしか、洋服の黒はフォーマルと言って、喪服は和装をさしていたと思います。男性は、確か、父などは礼装といっていました。男性もやはり喪服は和服をさしています。今でも、我が家ではそう言います。
質問者 3
はじめまして、みとんと申します。
>教えてください。お葬式に着物を着るのは身内のみなのですか?
着物関係の掲示板をいろいろ見てきましたが、 葬儀を執り行う地域によって、色々と違うようです。
場所によって、 喪服は喪主のみ、喪主以外の方は身内でも洋装、とか 通夜は色無地に黒帯、告別式は喪服、とか故人と一つ屋根の下に住んでいた人のみ喪服、とか身内のみ喪服、それ以外の方は色無地(略礼装)か洋装、など、 私が見聞きしただけでも、これだけあります。
ちなみに、私の母の実家の方では、 通夜は洋装、告別式は喪服、と決まっているそうです。 その地域独特のしきたりがある、というのではない限り、お葬式に喪服を着ていくのは、 故人や遺族の方に礼を尽くすという意味で 何の問題もないと私は思います。
質問者 4
答えにはなりませんが、ご参考になればと思います。
今でも、葬儀に際して、喪主ならびに親族が白の喪服を着る地域があります。 私の身寄りにも、持参した黒の喪服が役に立たず、地元の方から白の喪服を借りた人が居ます。
日清・日露戦争以前は喪服は白であったと言われています。戦没者の名簿を 靖国神社に収める儀式に参列する皇族・華族が、戦争激化に伴い、白の喪服が汚れるので、黒に変えて、一般にも伝わったと言われています。
当時の状況 では、明治5年に太政官令により公式な服制が、洋装となり、その影響の下 西洋の喪の色が取り入れられたと言われています。
そうした背景からは、黒の喪服の歴史も高々百年であり、昭和40年以降の 和服離れの影響は受けやすいと言えるのかも、知れません。
昭和39年の外国為替自由化の映像には、ハワイ旅行参加者のなかに和服の女性が多数写って いました。隔世の感が致します。私自身和服が好きと言いながら、ハワイに行くのに和服でご苦労様と思ってしまいました。
便利さとか簡便さの点では、和装より洋装が勝っているように思えますが、民族の歴史とか伝統を大切にしたいですね。相手に礼を尽くすことより、自分の利便性を選んだのでしょうか?
それ以前は、仕立て直したり、誰かに譲ったり着物のリサイクルが行われていました。
今では、折角譲られた着物があっても、活用しないその口実として、「喪服は親族まで」となるのでしょうか。
これまで、着物とともに受け継がれた伝統も、簡単に捨てられています。もっと 和服の良い面を理解して、普及したいですね。
質問者 5
こんにちわ、ヨシさん。
私の家の系統では、身内に限らず、告別式の参加は誰によらず、黒紋付に黒の喪の帯を正式とします。ご近所の方のご葬儀にも親がそれで参加しました。
一方、夫の実家の方では、全く習慣が異なります。 黒紋付は、身内の中でも兄弟(とその妻)及び、直系もしくは同居親族の女性に限ります。 しかも、葬儀期間中の最重要の法要の時間帯のみ(長くても2時間位)に限り、直前に着替えて、終了後にはすぐ脱ぎます。その前後は洋装の喪服を用います。
他の人は、身内の着物に対応する時間帯は洋装の喪服、その前後は黒っぽい普段着に白の割烹着かエプロンをします。
家でお茶だし、宴の支度もするので、家族のすぐ外側になる身内が、そういった仕事をします。喪服でぽーっと座ってはいられないのです。
近隣の方は、喪服に着替えずに、普段の格好のままで玄関で蝋燭かお線香を持参し、ご挨拶だけで引き上げます。 その後、お寺さんに移動しての法要の際には近隣の女性方が揃って「御詠歌」を詠います。この際には、普段着の上に着物の道行のような揃いの衣類を羽織ります。この格好のまま焼き場に同行し、焼き場でも「御詠歌」で送ります。
この集落は農村で、田畑の世話、家畜の世話と、一日も欠かせない作業があります。ですから、ご近所の葬儀にあたっては、
「仕事の合間にチョイと抜けてやってくる」
という考え方です。ですから「喪服の支度で来る」という必要はない、という考え方が長らく定着しているのではと考えています。
もちろん、故人に格別のご縁のある方はその限りではありません。「わざわざ、喪の衣類の支度で来る」というのは、この地区では、そういった意味を表現します。
この地区での衣類は、街場とは異なり、全ての長着は「礼装」の部類に入ります。 普段の衣類は筒袖やもんぺの類で、これが、今は洋装のブラウスとズボンに変りました。前がボタン留めになり、ズボンの腰がゴム入りになったと考えると普段着の和装と洋装に大差はないという印象です。
ですから、この地区の葬儀の習慣は昨今の「洋服の着用が一般になったから」という浅い習慣ではないと見ています。
このように、ご出席される方のおうちの習慣によって、状況はかなり異なりますので、お着物の着用に関しては、事前に確認されるのがよろしいと思います。
ご主人のご実家の方面でのご葬儀ならば、ご主人を通してご両親やご親戚にお尋ねになるとよろしいと思います。 私も結婚するまでは、葬儀に関して、衣類の決め事がこんなにも異なるケースがあるとは思いもよりませんでした。
ご参考に
質問者
多くの方からのご意見有難うございます。
日本も小さそうで広いですね。私には娘がおりませんので、息子が結婚することがあればそのお嬢さんとでも着物文化を繋いでいこうかと、、、。 難しいかな。
洋装は楽で便利ですが、畳める・コンパクト・最高の手触り・少々太ってもOK・・・の着物が良いです、好きです。色んな機会に着たいです。
本当に有難うございました。