明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

332.有松鳴海絞り 浴衣   

きものQ&A

質問者

 今年、初めて自分で反物を買いました。
 
 有松鳴海絞りの物なのですが、どのように着こなして良いかわかりません。 お値段も、反物代+仕立て代と私の中では高額で 自分のご褒美として奮発しました。
 
 ですが・・・現代の浴衣も着方が沢山あるようで 雑誌や百貨店などを参考にしていますが・・・わからないのです。
 
 着物の様に、襦袢や足袋、帯どめなど沢山の小物もありました。 または、通常のように裸足に下着の上に簡単に着るのがベストなのか 悩みます。 浴衣様の帯も、質や値段さまざまで 今回の着物に何が適しているのかもわかりません。
 
 教えて頂けたら幸いです。

ゆうきくん

 返信大変遅くなりました。申し訳ございません。
 
 ゆかたは襦袢を着ないで半巾帯、素足に下駄というのが本来の着方です。 ただし、おどりの世界では足袋を履いてお太鼓を締めるようです。おどりのゆかたざらいではそのような着方が一般的なようです。
 
 しかし、おどりの世界は芸能界と同じで、そのまねをするというのは違うと思います。
 
 ゆかたはもともとくつろぎ着として発達したものですから、堅苦しい半衿や足袋ははかないというのが本当でしょう。洋服にたとえればTシャツにネクタイをしないようにゆかたはカジュアル中のカジュアルな着方をします。
 
 しかし最近その浴衣が変わってきています。「振袖のゆかた」「襦袢を着る」「お太鼓を締める」「帯締めをする」「伊達衿をする」「足袋を履く」など従来のゆかたの着方では考えられないような着方がされています。
 
 きものの雑誌でもそのような着方が紹介されているようです。 私の店にも若い方がやってきます。
「ゆかたに締める帯締めありますか」
「ゆかたにするレースの伊達衿ありますか」
と言った具合です。
 
 きもの(だけでなく洋服でも)をどのように着ようと個人の自由です。私が強制するべきことではありません。しかし、昔からのきものを理解している者の目には何とも奇妙に映ってしまいます。
 
 きもの雑誌に紹介されている浴衣姿の中には、Tシャツにネクタイをして、糊のきいたパンツを履き、ウールの靴下に下駄履きをしているように思えるものもあります。それを若い人が「カッコイイ」と思うのは自由ですが、そういった雑誌を見るに付け、女房に 「おれ、呉服屋やめるよ」 とぼやいています。
 
 そのように成ったのは、着ている若者のせいではありません。メーカーや問屋が、ゆかたが売れないばかりに、伝統を無視して奇を衒ったファッションを次々に繰り出したからでしょう。若者にうけそうなものを創り売り出し、売れなくなればまたおかしげなものを売り出す、と言ったように。
 
 以前、ミニスカートのようなゆかたや襟ぐりが背中に切り込んだゆかた、振袖のゆかたなど次々に売り出されましたが、いつしかあまり見かけなくなってしまいました。 浴衣の形や着方など、長い年月を通して日本人が創ってきた物です。思いつきで形や着方を押し付けたところで長続きはしないと思います。
 
 それにつけても、おかしげな着方をまことしやかに雑誌に載せるゆかたや小物のメーカーには憤りを通り越してあきれるばかりです。
 
 ゆかたをどのように着るかは個人の自由です。しかし、ゆかたとはどういう着物なのか、どのように着られてきたのかなど十分に理解した上で着方を決めてもらいたいと思います。

質問者

 ご回答ありがとうございました。
 
 やはり本来の日本の着方にしようと思います。 ゆうきさんが、憤慨なさるのも無理のない浴衣文化ですね。
 
 私も、26歳でまだ若い部類なのでしょうが ファッション浴衣?には、疑問を感じるところもあります。
 
 本日、大手呉服屋さんのセールに祖母と行ったのですが そこでビックリする光景もありました。 言い方は、あまり良くないですが セット浴衣を中年のお母様が、25歳前後の娘に勧めていまして 脇にある、浴衣の反物やしっかりした作りの物には目を止めずその光景に祖母が、呆気にとられていました。
 
 子供がすぐ汚すなら、セットも使い勝手が良いけど 年頃の大人の女性が手を出すのは悲しいとも言っていました。 でも、価格的に買いやすくなり浴衣を着る機会も増えるのは 良い事ですが、文化がめちゃめちゃに伝わるのも悲しい事ですね。
 
 私事ですが、秋から着付けのお稽古をする予定なので 着物について、参考にさせて頂き、これからも質問すると思いますので よろしくお願いします。

参照:「きもの春秋 11. 浴衣(ゆかた)」
参照:「きもの博物館 9. 絞りのゆかた」
参照:「きもの講座 3. 夏のきものとゆかた」

 

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