明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

347. 割り込み絣の大島紬について質問させてください 

きものQ&A

質問者

 オークションで(10万以上)“割り込み絣の本場大島紬”を買いました。25年来着物を着てまして、紬は大島しか着ない位大島好きなので、少しは詳しいつもりです。

 画像で観た反物は綿密な9マルキの割り込み絣柄に、左端は太目の真っ黒な縞になってまして、頭の中では“粋”に黒い線が縦にはいり、スッキリとした着姿を想像出来、素晴らしかったです。
 
 購入元でお仕立てをお願いしまして仕立てあがったら驚きました。両袖の肩口縫い目端に、真っ黒な太いライン。(私の他の着物は袖口と袖付け根に、と言う感じでずらしてますが・・・。)全く左右同じ位置です。極めつけは後姿、身体中央に、左右から端に太いラインが(約8cm)。背縫いの縫い目の、左右から真っ黒なラインが通ってます。一本身体の真ん中に、真っ黒い線が通ってまして、ひと目見て(恥ずかしい!)と思ってしまいました。
 
 一度着てみたけどやはり恥ずかしく、後ろ目線が気になって嫌でした。“粋”でなく、“やぼ”な印象で、製作側に尋ねたら、この反物は和裁士さん達が相談したりした結果でこれしかなく、仕立て屋さん泣かせだったそうです。
 
 素人目には、着姿を見て(なんで、こんな仕立て方をしたの?)と思ってしまいます。専門知識が無ければ、反物では判りません。通常、帯の腹柄もど真ん中よりは、わざと少し左右にずらします。仕立て上がりは織元も計算すると思うのですが・・・。こんな着物は初めてなので、ぜひ、ご意見をお聞かせくださいますでしょうか?

ゆうきくん

 まことに苦言を呈するようですが、インターネットでの販売、特にオークションやバッタ商品を扱うサイトでのお買い物は何が起こっても不思議ではないでしょう。
 
 現在、店舗を持った呉服屋でも呉服のことを知らない人が多くなっています。 信用ある呉服屋のサイトならいざ知らず、オークションの類のサイトでどれだけ呉服屋としてサービスが出来るのかは大きな疑問です。
 
 呉服に限らず今消費者の気持ちは「安いほうへ、安いほうへ」と流れています。それは決して誤りとは言えませんが、安いものはそれなりのサービスと考えるべきでしょう。
 
 サイトを比べて「どちらが安いか」で購入を決める方も多いでしょう。電気製品や機械部品などは品番が同じであれば、どれも同じものです。より安いほうから買うのが筋でしょう。
 
 呉服の場合は同じ商品、同じサービスは二つとないと言っても過言ではありません。
 
「割り込み絣の大島」と言って商品が特定できる訳ではありません。仰る「粋」や「やぼ」も主観の問題ですので、その店のセンスでしかありません。メグさんがやぼと感じているものもその店では粋と思っているのでしょう。そんなレベルも店を選ぶ要素となるのですが、現在は残念ながら価格だけで比べられているようです。
 
 残念ながら意見らしい意見は申し上げられません。レストランのシェフにどこのファーストフードのハンバーガーがおいしいかと問われているようなものです。

質問者

 信用のある、店舗経営をしていらっしゃる呉服屋もインターネット販売をしている時代ですから、昨今はかなりレベルは上がっている物と思っておりました。よっぽど気をつけないといけませんね。お勉強になりました、本当に有難うございました。

質問者 2

メグさん、はじめまして。
 
 反物の柄の説明から想像しますと、縦縞の柄(端に黒の縦ラインが目立つ)の様ですね。 メグさんが野暮だと感じられるのは、背中心に黒が並んでしまったからでしょうか?
 
 メグさんが粋だと思われる柄合わせは、「追っかけ」でしょうか?
 
 もしそうならば、仕立て替え出来ると思いますので、実物を持って、和裁に詳しい方に相談される事をお薦め致します。 もしも仕立て替え出来る事をご存知でしたら、スミマセン。
 
 あと、私が思いましたのは、メグさん以外の方の感想を聞いてみられたのだろうかと云う事です。 他の方は、素敵だと思われたかもしれません。 黒い部分は無地場で、その他の部分に絣が入っているので、絣部分をたっぷりと見せる為に、ワザと背中心に無地場を持って行ったのではないか。

 そうすると、前身頃では、無地場は衿やオクミの中に入ってしまって、絣がたっぷり見える。 そう云う事だったのではないかなあと、勝手に想像致しました。
 
 オークションのリスクは色々ありますが、実物を間にはさんで、目と目で確認し合えない事ですね。 しかし、気心が知れた仲でも思い違いは、まま有る事です。
 これに懲りずに、着物ライフをこれからも楽しんで下さいませ。

参照:「きもの春秋終論 Ⅰ-ⅴインターネットの価格」
参照:「続続きもの春秋 11. きもののインターネット販売」
参照:「きもの博物館 5. きものの見分け方と価格について」

 

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