明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

36.肩裏について

きものQ&A

質問者

 おはようございます(^-^) 教えてもらってもいいですか?

 長めの道行きコートを作ろうとした場合、肩裏の長さはどのくらい必要ですが?

 5.1mの肩裏を用意したのですが、足りるのでしょうか?

 わたしは身長156cmなのですが、100cm位の身丈っていうのはバランス的にどうなのでしょうか?

 それと、イメージ通りの肩裏がない場合、長襦袢地でも代用可能と聞いたのですが、本当ですか?

 子供の晴れ着用の綸子の長襦袢で作るという人がいましたが、それは可能なんでしょうか?

  板場の友禅とは何ですか?(手持ちの肩裏がそういうものですが・・・)

 質問攻めになってしまいました・・・(ーー;)

ゆうきくん

 内容が複雑なので返事が遅れました。すみません。

 まず適正なコートの丈ですが、コートの丈は地方により呉服店により様々な基準があります。例えば、
「襟付けからかかとの先までから30cm短くする」
「羽織よりも6~8cm長くする。」
などです。

 羽織の丈も基準が様々ですが、身長÷2±(2~4)cmという基準を基にすると、たまさんの場合、羽織丈は  156÷2±(2~4)cm=78±(2~4)、 最近羽織が長くなっていますので78+4 とすれば82cmとなり、コート丈は82+(6~8)=90cmとなります。

 上記の基準から言えば、100cmの身丈は少し長め(10cm程度)と言えます。

 私はお客様のコートを採寸するときには試着用のコートを着ていただいてお客様の要望を聞きながら丈を決めていますので上記のような数式で丈を割り出すことは余りありません。

 コートの丈は実際にコートを羽織って、それより○○cm長ければどうだろうか、と考えながら決めてはいかがでしょうか。
 
 コート裏は通常丈が曲1尺5寸(45.4cm)とされています。これは見た目が一番良い長さなのだと思います。この寸法でいくと、用尺は(45.4×4)+(袖丈×4) たまさんが用意した裏が510cmだとすると、袖丈が80cm程度までとれますので十分です。

 ただし、以上は標準の仕立て方の場合です。

 表生地に使うのは着尺地でしょうか、羽尺地でしょうか。あるいは何かを仕立て替えするのでしょうか。表地が十分にある場合は上記のように裏地の丈を1尺5寸にすればよいのですが、表地が足りない場合は返りが少なくなり、裏地を長く仕立てなければなりません。

 表生地を実際に積もって、裏地が1尺5寸でできないときには裏地を長く取ればよいでしょう。

肩裏に使う肩裏地というのは特別な織物のように思われるかもしれませんが、白生地や羽二重地などの絹織物に変わりはありません。便宜的に肩裏に最も適する絹織物を肩裏地と称しているわけですが、肩裏地と同じような絹織物はたくさんあります。用途による絹織物の違いは、量目と織り方(縮緬が羽二重か紬か)ということでしょう。

 表地では重すぎて肩裏には不適切ですが、量目的に似た絹織物の中には肩裏に出来るものは沢山あります。というよりも同じ絹織物を、これは肩裏、これは襦袢と言っているようです。
 
 以前、男物の紬アンサンブルを仕立てるときに粋な疋の襦袢(二反分の襦袢)で襦袢と羽裏をとったことがありました。昔は色羽二重が容易く入手できましたが、最近は手に入らなくなったので八掛地を雨コートの裏に使っています。
 
 襦袢地や八掛地を肩裏に使うのは代用というほどのことではないように思えます。その昔(江戸時代あたり)には襦袢地、肩裏地などという区別は無かったかもしれません。実際にその襦袢地が肩裏に使えるかどうかは仕立てをする人あるいは呉服屋さんに聞いてみてください。

 一般的には代用できると言っても良いと思います。粋な襦袢地を使えば市販の肩裏地を使うよりも個性的なコートになると思います。
 
 最後の「板場の友禅」という言葉は聞いたことがありません。無理に解せば、型友禅のことを指しているのかとも思えますが、はっきりしたことは分かりません。呉服用語は複雑で造語が多いので、その出所、呉服屋や仕立て屋に聞いてみてください。

質問者

 わかりやすい説明、ありがとうございました。 わたしの場合、羽織だと82cm、コートだと90cmが適正な長さなんですね。

 この長さを基準に考えて、自分の好みに+-するといいんですね絵羽コート地で、身丈105cmまで出せるらしいので、表地は充分ありそうです。

 八掛もつかえるものなんですね。 いっぱい発見がありました(^-^) 確かに型染め友禅らしいです。

  たくさん教えていただけて、有難うございました!m(__)m

ゆうきくん

 私のつたない説明で分かりましたでしょうか。

 コート丈の「適正」という言葉に私は余り自信がありません。 きものについて着方にせよ寸法にせよ絶対という基準はありません。

 丈については採寸の基準が一つではありませんし、同じ基準を用いても地方や着方によっても変ってきます。

 例えば長着の身丈は腰紐の位置によって相当に違ってきます。昔は腰紐を文字通り腰のあたりで締めましたが、最近の着付けではずっと上で締めるので同じ人でもその差は10cm位あります。

 また、最近は若い人程従来の慣習にとらわれずに自由にきものを着ますので、羽織丈やコート丈も様々といったところです。

 私の示した基準は従来から使われてきた基準の一つ、と考えていただければよいかと思います。たまさんは四国とのこと。東北とは慣習も違うでしょう。行きつけの呉服屋さんにも相談してみてください。

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参照:「きものQ&A 98. 輪奈コートは」

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