明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

364.ちりめん紬について 

きものQ&A

質問者

 はじめまして。 色無地の着物について教えて頂けませんでしょうか?
 
 日本舞踊の師範試験用に、白無地から、染め抜き一つ紋の色無地を仕立てました。 ところが、出来上がって気づいたのですが、「紬」と「ちりめん」と表記がついていたため、試験に使えないというのです。

 これが紬縮緬の色無地とした場合、他の綸子や縮緬の一つ紋と同格と考えて良いのでしょうか?
 
 そもそも反物は叔母が結婚祝いにくれた物です。 いずれ好きな色に染めてね、とのことでした。 試験では「染め抜き一つ紋、色無地か付け下げ」ということでしたので、手持ちの反物で作ったのです。
 
 仕立てたお店の方も、これは柔らかものの部類、と判断なさったようです。 ところが出来上がってきたところ、先生は「紬など言語道断」とのこと。 もちろん、紬の色無地のつもりは、こちらも更々ありません。

 今のままでは、もう一度一から仕立て直しです。 ショックでなりません。 なにとぞご教授下さいませ。 

質問者 2

 こんにちは、 文章を読んで混乱されている部分は「紬」と「縮緬」そして「色無地」の部分と思います。

 紬はお調べになられるとお分かりのように真綿を繋いで織ったため、普段着の格が現在でもついている糸の種類。縮緬は織りの際の絹の拠り方ですので織ったときにできるシボでその価値を見る織り方。色無地はそのまま無地に色をつけて染め。
 
 しかし、一般的には「色無地」は縮緬素材の一越ちりめんと呼ばれる絹の「たれもの」に背紋をつけたものです。 ご質問者の文にもあるように、踊りの先生は正絹(ポリも可?)の縮緬素材の色無地を考えておられるようです。

 なぜ、紬が普段着で縮緬の格が上なのか? 正絹に対する格つけと思われます。
 
 着物を主体に考えると、紬は出来るまでの工程と技術から高価ですし、格下ということに疑問はあるのです。ですから、というべきか? 最近では紬の留袖や訪問着もあるのですが、いかんせん、格ずけ崩壊(?)までにはまだ時間がかかりそうですね。

 お役に立てれば幸いです。

質問者

 貴重なアドバイス、ありがとうございます。

 仰るように、先生はやはり縮緬か綸子の色無地をお考えです。
 
 なので、反物から染めて抜き紋までしましたが、結局は作り直しになります。 出費が痛いです・・・。
 
 ちりめん紬については、新しいもののようで、認知も格付けもまだまだですね。 呉服業界では、柔らかものの部類と認識しているようですが、踊りの、まして試験を受けるような所では、お偉い先生は昔からの方ばかりですので、ちりめん紬の地位は所詮「紬」でしかありません。

 もっとも、それには言い分もあり、舞踊の世界では、踊りの所作や線をを美しく見せるために100%タレモノでないといけないようです。
 
 ならば、明文化してくれればよいのですが、そうも簡単にいかないのが古い伝統の世界です。 お茶の世界ではこのちりめん紬の扱いも違うようですが、それぞれの分野によって認識が違うのも、消費者(着る側)にとっては難解です。

 着物が高価で貴重なものとなりつつある今日、着る側も認識を改めていかないと、着物文化やこれらを着る古典芸能は廃れてしまいかねないと、危惧しております。

ゆうきくん

 その生地がどのような生地なのか見てみなくては分かりませんので、想像でお答えいたします。
 
「紬」と「縮緬」と表記があるとのことですが、その生地は「紬縮緬」かもしれません。

 「紬縮緬」という生地は十五年位前に出来たと思うのですが。経糸と横糸に紬糸と生糸を使ったものです。紬ほど粗くはなく縮緬のような光沢はありません。やはり色無地やボカシ、小紋に使われているようです。
 
 比較的新しい素材ですので、その使い道についてはまだはっきりとしたコンセンサスはないと思います。「紬」の範疇で捉える人もおりますし、「縮緬」の範疇で捉える人もいるかと思います。
 
 日本舞踊のしきたりについては分かりません。まして紬縮緬だとすると、おそらく師匠によっても見解が違うかもしれません。

参照:「きもの講座 2. きものの格について」
参照:「きもの講座 8. きものの生地について」

 

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