明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

368.普段着の過ごしかた 

きものQ&A

質問者

 着物初心者のほしのと申します。

 こちらの掲示板を使用するのは初めてですので、何か不備がありましたら削除の方お願いいたします。
 
 先日、川崎様が投稿された「ある意見」を拝読させていただきました。
「普段着として提案したらどうか」
とのことです。

 これに関連することとして結城様に教えていただきたいことがあります。
 
 今、私は平日は洋服で会社へ行き、休日は和服で過ごしております。また、平日、仕事から帰ってきて就寝するまでに、可能ならば和服で過ごしたいと考えております。

 しかしながら、平日、仕事から帰ってきて、着物で過ごそうにも、就寝までの時間は3時間ほどであり、肌襦袢、すそよけ、長じゅばん、長着、帯、と着付けていくと、脱ぎ着だけで少なくとも30分は時間が取られます。

 このように手間がかかりますゆえ、平日は簡単な洋服を選んでしまいます。
 
そこで、お伺いしたいのですが、
 
1)普段、もう、どこにも出掛ける予定のない夕方から夜にかけて、より簡単に和服を着る場合、どのような服装が考えられますか?特に浴衣ではまだまだ寒いこの季節、どのように過ごされているのか教えていただけたらと思います。
 
2)また、(私的なこととなのでお答えいただけるか分かりませんが)お風呂に入る際、長着は部屋で脱いでからお風呂場へ行くのが適切なのでしょうか?それとも長じゅばんも部屋で脱いでから、の方がよいのでしょうか?絹は湿気で縮むと聞くので、どの時点で脱ぐのかとても迷っております。
 
 加えて、大変お忙しいとは思いますが、もし可能でしたら、
「部屋着、寝巻きとしての普段の着物(寛ぎ着)」
についても着物春秋のようにお話いただけたらと存じます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

ゆうきくん

 きものは古来日本人が四六時中着てきました。どのような場でも、どんな時でもそれに相応しい着物があります。普段に着る着物ももちろんあります。
 
 まず、ほしのさんの文章から感じられる事は(決め付けるようですみません)、きものを堅く考えておられるような気がします。
「肌襦袢、すそよけ・・・・と着付けて行くと・・・。」
また、
「絹は湿気て縮むと聞くので・・・。」
という行がありますが、
「きものは着付師が着せるように着るべきもの」
「着物は正絹」
という印象があるのではないでしょうか。
 
 小紋をきちっと着て歩いているご婦人・・というイメージに思えます。よそ行きで着物を着るときと普段とでは自ずから着るものも違ってきますし、着方も違ってきます。
 
 平日、会社から戻って正絹の小紋を着るというのは不自然でしょう。普段、風呂に入るようなときに縮緬の着物を着ているというのは不自然です。
 
 会社から戻り、食事をして風呂に入るという場面を想定してみましょう。
 
 着る着物は染物ではなく織物が普通です。染物を着る事はほとんどないでしょう。紬、ウール、綿が一般的ですし合理的です。
 
 着方はどうかといえば、いちいち「肌襦袢、裾よけを着て」という事もしないでしょう。洋服の下着の上にメリンスの襦袢を着て着物を着る。帯は半巾帯だと思います。
 
 帯でお太鼓を造るのはよそ行きを想定しています。普段は半巾帯です。紬やメリンスでしたら風呂場で脱いでも「湿気で云々」はありません。
 
 小紋や訪問着で家に帰り、汗をかいたので風呂に入る、という場面では、やはり部屋できものを脱ぎ、普段着に着替えて風呂場へ、と言うのが普通かと思います。
 
 以上のようで回答になっているでしょうか。

質問者

結城様。 お返事くださりありがとうございます。

>まず、ほしのさんの文章から感じられる事は(決め付けるようですみません)、きものを堅く考えておられるような気がします。

 そうですね。私は着付け教室で「よそ行きの着付け」を習ってから着物を着るようになりましたので、「よそ行き着物思考」からいまひとつ抜け出せておりません。今回は、そうした「よそ行き」から身近なものとなるように「普段の着方」を教えていただきたくご相談させていただきました。

>着る着物は染物ではなく織物が普通です。・・・紬、ウール、綿が一般的ですし合理的です。

 紬やウール、綿ですね。ウールや綿ですと自宅で手入れができるとお伺いします。そのようなものを探してみます。

>着方はどうかといえば、いちいち「肌襦袢、裾よけを着て」という事もしないでしょう。洋服の下着の上にメリンスの襦袢を着て着物を着る。帯は半巾帯だと思います。

 洋服の下着の上に長じゅばんを着るのですね。メリンス…ウールの襦袢でしょうか。

 少々検索してみましたが、現在では品薄になっているようですね。他に自宅で手入れができるものは化繊となりそうですね。

>帯でお太鼓を造るのはよそ行きを想定しています。普段は半巾帯です。

 普段は半巾帯(これは半幅帯と同じものでしょうか?)でよいのですね。それなら手早く結べそうです。

>紬やメリンスでしたら風呂場で脱いでも「湿気で云々」はありません。

 紬は絹製だと思っていたのですが、紬は湿気に強いのですね。

>小紋や訪問着で家に帰り、汗をかいたので風呂に入る、という場面では、やはり部屋できものを脱ぎ、普段着に着替えて風呂場へ、と言うのが普通かと思います。

 やはり一度普段着に着替えてから行かれるのですね。洋装でもスーツやなんやらを脱いでから、お風呂場へ行きますものね。 もう一つ、

>帯でお太鼓を造るのはよそ行きを想定しています。普段は半巾帯です。

とのご回答に関して、お伺いしてもよろしいでしょうか。

 今回、家から出ない。という設定で普段の着方を教えてくださいました。 もしこれが、夕食の材料を買いに近くのスーパーへ行く、または郵便局へちょいと行く、など、家から出る場合は「よそ」ですからお太鼓を結んで出掛けられるのでしょうか?

 それとも、「よそ」というのは身だしなみを整える必要のある場所(私にとっては、より公共性の高い駅や電車、または洋服でもしゃれ着をするカフェなどでしょうか)へ行くときでしょうか。

 どうぞご教授くださいますようお願いいたします。

参照:「続続きもの春秋 10. きものを着るという事 」
参照:「きもの博物館 1. ウールの着物」
参照:「きもの博物館 58. 綿のきもの」

 

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