明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

37.絞りの着物

きものQ&A

質問者

 今夏、総絞りの着物のお仕立てに教えてください。

 わたしが反物を見つけたお店では、 裏打ち(布代含む)9000円 八掛(別染)9000円 お仕立て代23000円とのことでした。 八掛をわざわざ表地の色に合わせて染めるとのことですが、普通はそうなんですか?

 素人ですので、(・_・?)ハテという感じです。 既製品を合わせてはだめなんですか? 裏打ちは必要なものと理解していますが、このお値段は妥当なお値段なのでしょうか?

旅から旅

  あなたのこの質問は、呉服屋さんをやっているゆうきくんには、ちょっとばかり、酷な質問だと思いました。呉服屋さんに向かって、この値段は高いか安いかを聞いては行けません。高いと答えれば、あなたの呉服屋さんを非難する事になるし、安いと答えれば、ゆうきくんの店の値段が高いことになります。そして、あなたの呉服屋さんの仕事を実際に見てみなければ、高い安いを論じられません。裏打ちもしかりです。

 八掛の別染もどんな生地を使っているかによって、値段もまちまちです。

 これらの値段が妥当なものかどうかの質問ですが、残念ながら、妥当とは言えません。

 ある意味、安すぎるからです。総絞りの着物の仕立て代がこの値段に落ちついてしまうと、たぶん、仕立てで生計を立てているものは職を放れざるを得ません。

 あなたは、総絞りの着物をそこで買われたんですね?では、お聞きしますが、その総絞りの着物はおいくらだったでしょうか?それは、正反だったのでしょうか?

  総絞りとおっしゃるのですから、くしゃっと絞ったままの巾のせまい生地を染められたのでしょうか?どうも、僕には、生地のほうでしこたま儲けているだけのような気がします。一度、その呉服屋さんに、よそで買った反物の仕立てを頼んでごらんなさい。

  そうすれば、その呉服屋さんは、どうされるでしょうかね?

質問者 2

 はじめまして。 書かれていらっしゃるお値段に驚きました。
  旅様がご意見を書かれていらしたのを拝見させていただきました。 ごもっともなお話と、伺いました。 わたくしはただのばあばで、呉服屋というプロの立場ではございませんから、「客」としての経験を話させてください。
  総絞りの着物を作った経験があります。 裏打ち 9,000(布含む) 八掛  9,000(別染め) 仕立て代 23,000(総絞り) は、たまげるほどにお安いです。
  旅様がおっしゃるように、ある意味では安過ぎ...です。 別染めの裏でそのお値段は、びっくりします。
  別染めにします...という呉服屋さんには、生地の具合とか、それなりの理由があるのでは....と考えます。
  総絞りの着物は、きちんと仕立てないと、後で大変な事になります。(袋をかぶると私の母は申してましたが...) 専門の方は、私なんかよりずっとよーくご存知ですから..... とにかく「総絞りで、そんなにお安い仕立て代なんてあり??」という感想です。 呉服屋ではありませんが、素人の感想です.....
 

ゆうきくん

  きものの値段や仕立ての値段については、旅さんがおっしゃるとおり大変答え難いものがあります。

 十分に説明をつけたうえで答えても、取りようによっては善意にも悪意にも取られてしまいかねない事情があります。その原因はきもの業界の今日の混乱があります。

 きものの値段については、その品質に大きな差があるということ。つまり手描きのものとプリント物が平然と同じ物であるかの如く店頭に並べられたりしています。

 同じ絞りの着尺といってもピンからキリまであります。それに加えて旅さんも指摘していましたが、業界の混乱によって小売屋や問屋の倒産品などのいわゆるバッタ商品が出回っていることです。正当なルートで安いものはいくらぐらい、と提示しても、どこかでは必ずそれよりも安い価格で出回っているのが現状です。

 それが業界の発展にとって決して健全でないことは旅さんの指摘されるとおりです。

 また、仕立て代についても一概に○○円ぐらいと言えません。一昔前までは大手の量販店では裁縫学校の生徒に仕立てをやらせているという話も聞いていましたが、最近は中国仕立て、ベトナム仕立てというものもあって仕立て代の原価は錯綜しています。それらは、相当に(あ、もひとつ相当に)安い原価らしいです。それをいくらで消費者に提示しているかは分かりませんが、ちゃっかり国内の熟練仕立て屋の相場で提示している呉服屋もあると聞いています。

 きものや仕立ての値段は目の前で商品や仕立て物を見ていただきながらお話すれば理解していただけると思いますが、たまさんが今目の前にしている商品については私はわからないと答えるしかありません。ただ、今の呉服業界は残念ながらそういうものだということを理解して頂きたいと思います。

 八掛につきましては前にも書きましたが、昔は呉服屋は相当数の八掛を在庫しお客様の目の前できものに合わせておりました。私の店では今でもそうしています。

 しかし、呉服屋が在庫を持ちたがらないのか、あるいは見る目がなくなったのか、八掛の在庫を持たない呉服屋が増えているそうです。見本帳だけで八掛を合わせ、既製の八掛で済ましているようです。人間の目は20万色の色を見分けられるといいます。厳密に言えばそのきものに合うのはその中の一色ということになります。

 そういう意味では、その呉服屋さんは良心的に一番合う八掛を合わせてくれたとも受け取れます。

 しかし、前述したようにそれが善意なのか悪意なのかは私にはわかりません。

 ホームページの購買部を覗いていただいて有難うございます。染め帯を気に入っていただいたそうですが、「値段がステキ」だそうですね。高かったでしょうか。

 私は商品を正規なルートでどこよりも安く買い叩いて(問屋さんごめんなさい)どこよりも安い掛け率で販売しているつもりです。バッタ商品その他私の店よりも安いところは在るでしょう。品質と価格の標準と見ていただきたいと思います。

 正確に答えられなくてすみません。

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参照:「きもの博物館 46. 絞り染」

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