全日本きもの研究会 きものQ&A
413.単衣の着物 丸洗いに出す度縮み
質問者
こんばんは、ゆうきくんに質問したくお邪魔いたしました。
4年前位にある呉服屋で反物から単衣に仕立て毎年初夏と秋に着用しその呉服屋さんで汗抜きと丸洗いに出していましたら どんどん着物が縮んでしまったのです。
購入した呉服屋さんに聞いてみたのですが 原因が分からないのでどうしようもないとの事。生地自体が縮む性質があるようで ある仕立て屋さんで聞いてみましたら、このまま洗っていけばいつか縮まなくなるでしょうと言われました。
縮みが止まった時点で洗い張りをして仕立てなおせば もう縮まないのでしょうか?
ゆうきくん
縮んだ生地についてのご質問ですが、生地が何なのか分からないのであまり具体的な回答ができませんが、一般的な回答をいたします。
生地が縮む、という現象は珍しいものでは有りません。絹布、綿布にかかわら少なからず縮むと言えるかもしれません。縮みの具合は様々ですが、本塩澤などは放っておけば二割程度は縮むと思います。綿のゆかたなどは何度も洗う内に身丈が短くなってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、この縮むというのは着る者にとって厄介です。寸法が合わなくなってしまいます。 生地は少なからず縮むものですので、その対策も講じられています。綿反の場合は先に水に通してある程度縮ませてから仕立てることもあります。また、最近は技術が進んで防縮加工を施すこともあります。
表記の、
「このまま洗っていけば・・・」
と言うのは事実ですが、ちょっと無責任のようにも思えます。縮んでも我慢しながら着続けるということでしょうか。
縮みが止まった時点で仕立て直せば確かに縮まないと思いますが、ものによっては縮ませてと言うこともあるかもしれませんが。
前述の本塩澤などは縮みきってしまえば幅が足らずに裄が採れなくなると思います。 生地が何なのか分からないので具体的なアドバイスはできませんが、呉服屋さんに相談してみてはいかがでしょうか。
余り適切な答えですみません。ただ、次のことは覚えておいていただきたいと思います。
縮みに限らずに自然の素材を使う限り、不都合が起きます。縮みやシワ、洗濯しにくい等々、メンテナンスの上で不都合がおきます。 これらを完全に払拭しようとすれば、都合よく造られた化学繊維を用いるしかないでしょう。自然の素材の持ち味や風合いを大切にしようとするならば、そのような不都合があることを知っておかなければなりません。
もちろん、メーカー、織屋、染屋はそれを払拭するための努力をしています。 最近の「完璧に造られた物」を見慣れた人にとっては、ちょっとした縮みも難物と見られるかもしれません。
白い洋服をおしゃれに着る時には汚れないように努力しなければならないのと同じように、着物の脆弱性も頭に入れておく必要があると思います。
参照:「きもの春秋 15. 手造りと難物の境」
参照:「きものQ&A 4.塩沢について 」
参照:「きものQ&A 165.みごとに縮んだ小千谷縮は偽物?」