全日本きもの研究会 きものQ&A
539.結婚式の留袖の紋
質問者
こんにちは
着物についてお聞きしたいのですが、娘の嫁ぎ先の家紋の着物(留袖)を着ることはNGなのでしょうか?(孫の結婚式での着用を想定)
結婚式では、娘の嫁ぎ先の親族も見えるので、やめた方がいいのかなと思っております。
よろしくお願いします。
ゆうきくん
紋についてのご質問ですが。
女性の紋は必ずしも家紋に限らず付けても良い事になっています。そういう意味では、嫁ぎ先の紋でも構わないと言えます。ただし、次の様な事を考慮してはいかがでしょうか。
女性が家紋以外の紋を付ける場合は、一般的な女性らしい紋を付けます。例えば「五三桐」「桔梗」「三ツ割桔梗」「片喰」等等。
これらは、女性が低く見られていた時代に
「女性が家紋を付けるのを避ける」
または、
「男性っぽい家紋を避ける」
と言った事情によるものと私は考えています。
従って、嫁ぎ先の紋がとても特徴的な(珍しい)紋の場合は、他人から見ても
「留袖を借りてきている」
と思われるかもしれません。
一般的な紋であれば、そういう事はないと思います。紋が何なのか分からないので、是非は申し上げられませんが、そのような観点から考えてはいかがでしょうか。
質問者
早速のお返事、ありがとうございます。
母方の祖母(家娘)の家紋は、丸に結び笠、母の嫁ぎ先の家紋(=我が家の家紋)は、五瓜に中陰蔦です。つまり、本来、祖母は丸に結び笠の着物がベストだと思うのですが、いろいろ事情が絡み、五瓜に中陰蔦の留袖を着るかもしれないということで、気になってお聞きしました。どうなのでしょうか?
大変お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
ゆうきくん
私は少し勘違いしていました。
結婚式で
祖母 → 五瓜に中陰蔦(おばあさんの娘(母)の家紋)
母 → 五瓜に中陰蔦(現在の家紋)
の留袖は着られるかと言うご質問ですね。
前に申し上げた通り、女性は家紋に限りませんので、その意味ではOKです。五瓜に中陰蔦はポピュラーな紋ではありませんので、相手方とは被らないと思いますし、その意味でも気にする必要はないでしょう。
あるとすれば、おばあさん(祖母)の一族が違和感を持つと言う事です。
「〇〇のおばあちゃん、家の紋ではなく、娘(中村さん)の紋を付けているね。」
と言う声が聞こえるかもしれません。
おそらくそれはないかと思います。
最初のルールに則せば、問題はないのですが、その親戚団が、それを一笑に伏せる雰囲気なのかどうかだと思います。昔ながらの頑固者が居たりすると・・・。
と言う事かと思います。
参照:「きもの講座 2. きものの格について」
参照:「きものQ&A 6.家紋」