明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

302.着物の常識について 

きものQ&A

質問者

 ゆうきくん、いつも丁寧な返信などで勉強させていただいています。
 
 今回は着物の常識についての#7を拝読させていただきました。呉服屋さんは和服の専門家としてだけでなく、日本文化の専門家として「まちがいない」返事を期待されている方が多いのだな、と興味深く読ませていただきました。

 さもあらん、ですが。 ゆうきくんの考察にもうなずけます。過度の信頼は困りもの。とでもいうところでしょうか? 本来は自分で調べ、検討して実践するのが服装なのですがね。

 和服に関してはまず、「石橋を叩いて」見るもの。との考えが一般的。というより、石橋を叩きもせず、遠回りする、あるいは洋服という別の道を行かれる方が多いようです。
 
 呉服屋さんにもいろいろあり、販売はしているがご自分では和服は着ないご店主も多いですね。また、量販のために流行のみに注目される向き。ですから、伝統=写真撮影になるわけでしょうね。
 
 買い手も売り手も「忙しい」ので、伝統にはまり込む時間がないのでしょうか? 無いなら、「何もするな」とは、強制ですから、そんなことは申しません。 それも自由社会の日本文化の一部と思います。 そちらはそちら、自分は自分が別の解釈の伝統になった日本の伝統でしょうね。
 
 私個人では和服は「制服」ではない。との認識があります。 「皆が着るから」この着物でなければならない。という衣装は「制服」です。 踊りの場の着物や茶会での接待側の着物を語る場合と踊りを鑑賞する場合の着物と接待される側の着物の選択には大きな違いがあります。ゆうきくんのおっしゃるマニュアル通りにはいかない「和服のTPO]です。
 
 日本では「人を立てる」文化と「人を敬う」文化があります。着物にもその心意気や気持ちがあります。日本だけでなく諸外国の伝統的衣装にも合致することが多いです。伝統。。それは代々伝わるもの。。その人が生まれ育った証とでもいいましょうか。人が選ぶ衣装には意味がある。ので、他人にはわからない時差があり温度差があるのではないでしょうか。
 
 私は外国で学生たちに日本文化を教えていましたが、アメリカの大学で、200名ほど在学していた日本人学生(今はもう20代後半から30代でしょうか)のほとんどは和服を着た経験がありませんでした。また、洋服についても、多くの学生の中には一般的な来賓をお迎えする場で、どのような服装がよいのか見当もつかず、人に聞くこともせず、ジーンズとセーターで出席したことも何度か見受けられました。
 
 後に聞いたところ
「日本では制服がすべてだったから、私服での(正式な場所への)出席に何を着たら良いのかわからなかった」
との事でした。彼や彼女は高価なジーンズとセーターであれば良いだろうと思った様子。もちろん、咎める者はいませんでした。清潔であれば良しとするその国の文化です。
 
 私が不思議に思ったのは日本に1年間留学していた当大学のアメリカ人学生は一張羅であろうネクタイとジャケットを着ていた事です。先の日本人学生たちとは日本校での同級生です。
 
 ご存知の方も多いと思いますが、アメリカではネクタイにジャケット出席はとても稀な状況です。高校生や大学生活でネクタイを締めるなど場数はないのが現状ですが、先の来賓をお迎えする場は日本からの来賓を向かえる場であり、そのセレモニーは日本文化を敬う状況下であったわけです。
 
 日本では服装で敬意を払う、という文化は廃ってきたのでしょうか?それでも和服には非常にシビアにルールを押し付けているのは。。。何の文化なのか? 普段着に着物を着ている私としては、いまだ、咽喉に小骨が刺さっているように、すっきりしないのです。
 
 他人が着ている和服が「ふさわしくない」とのコメントをする人への一節がゆうきくんの文にありますが。 和服の知識はつまりが、知識人のレベルにもなっているのではないでしょうか?知っていることが自慢。自慢する人の多くは実践で着ることもないようなのでその知識にも奥がありません。言うほど自信もないようなので、つっこむと退散します。どうでも良い「いわせておけ」の部類でしょう。こちらの虫の居所により不快になることもありますが。和服の奥を知っている人たちは普段着であれば「好きな着方にしなさい」といいます。
 
 また色合いはその人の雰囲気や顔の映りを参考にアドバイスしますね。その組み合わせは洋服世代の私など最近ようやくわかったようなものです。実際に真っ黒の着物に黒っぽい帯、小物に派手目な色合いや赤を持ってきたとして、一度は着ても、何度も着たい組み合わせではありません。
 
 ここで本題です(え、、、まだ、続くのかって?すみません) 数年前のある厚みのある和服雑誌に(図書館で借りたのでバックナンバーです)一重を重ねて着ることを提案されている着物アドバイザー(?)がいらっしゃいました。一重の重ねる枚数で保温やクールダウンを提唱していますし。すべて一重なので一番上に着るものや色あわせにより季節感を楽しめるってなものです。

 すてき。。。と思い、試しましたが2枚の重ね着が限度。。オハショリのダブつきで完全に閉口。よく読むと内着は対丈だったかもしれません。 着物を楽しむ。。。このような状況は

 やはり、時間と、お金と。。必要なのかも。 ここで、一旦(え?一旦かい?!)文章を終了します。

ゆうきくん

 ご感想いただきましてありがとうございます。 きもののしきたりについてのコンセンサスを得るのは難しいかもしれません。

 異論反論もあると思いますが、きもののしきたりについて前向きに考えていただける材料となれば幸いです。

質問者

 ご返信いただきありがとうございます。

 文化が関西と関東に分かれたころから人気を二分しているのではないでしょうか? また地方文化によっての伝統衣装もあります。 人も文化の一部ですからたどる道は面白いものと思います。

 これからもご指導のほどよろしくおねがいいたします。

参照:「きもの春秋終論 Ⅲ-ⅰ常識・しきたりとは何か」

 

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