全日本きもの研究会 きものQ&A
378.古い絣
質問者
教えてください。
田舎の蔵の中にあった、古い絣を貰いました。どれだけ古いか分からないけど、糊がぴんぴんに利いています。これを仕立てようと思うのですが、湯通しした方がいいのか、湯のしなのか、また、やり方もわかりません。
専門家に頼めばいいんでしょうが、自分でやってみたいと思っています。やり方、教えていただけますか?
それとは別に、多分、亡くなった祖父(私は54歳、祖父は私の生まれる前に亡くなっています)のものらしいお召しを上被仕立ての2部式にしようと思っているのですが、これも湯のしした方がいいでしょうか?
こちらの方は、反物の端の方、2尺~3尺くらい、虫にやられて、透かしてみたら星空のレースみたいになっています。古いものだからいいや、と、今から裁とうとしていました。
どうぞ、よろしくお願いします。
質問者 2
普段ものの、銘仙や紬は、戦前は家で洗い張りしたと言います。 しかし、当時は、専用の張り板や伸子という布を張らせる竹の用具がどこの家にもありました。当時は庭もそこそこありましたので、庭一杯に反物を広げていても問題なかったわけで。
現在は、この用具自体手に入れるのは困難となりました。 業者さんは、今はこういった従来の用具の他にもっと便利な器具を使って処理されています。
自身でお仕立される方も、湯のし、湯通しは業者さんに頼む人が多いです。 これだけならばそう高額でもありませんので、用具の調達や手間を考えると、割安と言えましょう。自宅に1反 約38mの反物を干す場所があるかと考えてみて下さい。
一度、失敗したものを業者に持ち込んでも、最初から業者に頼んだものと同じにはならないことが多いです。(幅や丈が縮むなど) その危険も考慮ください。
古い紬は、現在流通しているものと異なり、もともと幅が狭いとか、長さが短いというものがあります。それが縮むとなると、着用可能な裄も丈も取れないことになりかねません。
済みません、誤記です。
自宅に1反約38mの反物を干す場所があるかと考えてみて下さい。 一反は、約12mです(反物により、かなり長さの違うものがありますが、目安として)
ゆうきくん
湯通しの仕方については分かりません。 専門の職人に聞いてください。
古い絣と言う事ですが、何時ごろのものでしょうか。 おじいさまのお召しとのことですが、何時ごろのものでしょうか。
大槻さんは昭和30年頃のお生まれと思います。そのお召しは昭和20年代、あるいは戦中、戦前のものかもしれません。 古い反物を仕立てるのあたっては、幾つかの問題が有りますのでご注意下さい。
一つは生地が仕立てに耐えるものかどうかです。昔は絹は大変な貴重品でしたので様々な品質の生地が織られました。今では織られないような肉厚の羽二重地にお目にかかることもありますが、非常に薄く織られたものもあるようです。その事を頭に入れていただきたいと思います。
二つ目には、幅が狭いものがあります。今は1尺程度が当たり前ですが、8寸5分、もっと狭い8寸くらいの反物も見た事があります。自分の裄丈が採れるかどうか確かめてください。
回答になりませんが、生地を大切に使う事は良い事です。出来るのであれば是非仕立ててみてください。
参照:「きものQ&A 235.仕立て直しの法則」
参照:「きものQ&A 307.黒絵羽織のリメークについて」