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全日本きもの研究会 きものQ&A

38.柄の格について教えてください

きものQ&A

質問者

 着物掲示板では機械プレスの絞り加工にはびっくりしました。

 今日は柄の格について教えてください。

 ゆうきくんの「きもの春秋」の付け下げと訪問着の違いの章を読んでいましたら、柄の重さが格を決める・・・というような結論になっていました。 それで、どうぞ質問させてください。

 一般に有職文様とか蜀江文様とか松に鶴など伝統の文様の格は高そうだな・・・と想像するのですが、御所解きなどはどうでしょうか?

 御所解きといっても茶屋辻などが描かれているものは格よりは柄自体の面白さや優雅さが先に立つような気がしますので重いとは言えないような気がしています。

 それでも訪問着や色留袖にはありますよね?総柄の小紋もあるし・・・。

 それとも御所解きの中にも重いものと軽いものがあるのでしょうか。 桐、橘などはお祝い事に相応しいので格を持つのでしょうか。貝桶、文箱などはどうなのでしょうか?お正月、初釜などには相応しいのでしょうか。

 洋花でもはっとするくらい気品高いものであれば格が高いのでしょうか。

 いろいろたくさんお聞きしてしまいましたが、例えば金糸銀糸の袋帯に抽象的な模様が織られたものよりも有栖川が織り込まれた名古屋帯の方が柄としては重いのかなあ・・・ということを考え始めたら、う・・・んとうなってしまいます。

 どうぞよろしくお願いたします。

 
 

ゆうきくん

 きものの格付けについては「きもの春秋」で述べたように、柄の重さがその大きな要因となっているのは確かだと思います。では柄の重さとは何なのかということになりますが、これは一口には言い表せない難しい問題です。

 柄の重さを左右する要素は沢山あります。「柄の大きさ(小紋柄か大柄か)」「柄の面積(総柄かどうか)」「染の種類(友禅染、型染め、絞り染め、更紗、藍染等等)」「箔づかいかどうか」「金糸銀糸はどのくらい使われているか」など他にも様々な要素があります。

 それらが複雑に絡み合って柄を構成し、できた柄の格が決まるわけですが、余りに複雑なために主観の這いいる余地も十分にあるといえます。

 例えば、全く同じ友禅染の訪問着に箔を多く置いたものと金糸を多く用いたものではどちらが格上か、という命題については主観によって左右され、結論を出すのも難しいと思われますが、結論を出すこと自体が無意味なように思われます。

 百枚の訪問着を一枚一枚格付けして並べると言うことが意味あることとは思えません。先に示した複雑に絡まった要素を判断して、
「この訪問着はだいたいこの位の格だな」
という判断で充分でしょう。

 些細な格付けの違いで同じ場所で着れないということはありませんし、帯の合わせようによっても全体の格が変わってくるからです。 ご質問の趣旨は、具体的な柄について、それらが格付けの要素となりえるのかどうかということだと思います。

 文中にある有職文様、蜀江文様、松、鶴、御所解き、桐、橘、など個々の文様に格付の要素がないとは言えないと思います。しかし、先に記したようにそれらは数多くの要素の一つであって、それのみできものの格が決まるわけではありませんし、格の差はあっても同じ場所で着れないような大きな格の差とは成らないように思えます。

 強いて言えば、格と言うのではなく、おめでたい柄という範疇はあります。宝尽くしや鶴、熨斗などです。それらのおめでたい柄は結婚式などで好んで着られますが、それ以外の柄を着ていけないわけではありませんし、必ずしも一番格が高いわけでもありません。
 
 きものの格付けの判断は、個々のきものの格を比較することではなく、自分がきものを着て行こうとする場にそのきものが適切かどうかという判断程度で良いのではないでしょうか。
 
 最後の帯については袋帯と名古屋帯ではその形式に決定的な差があります。帯の格を決めるのも多くの要素がありますが、他の要素が同じであれば袋帯が上と言えます。

 しかし、紬の袋帯もありそればかりでは判断できません。帯の格の判断はきものと同じように、その場そのきものに合っているかどうかと言う判断で十分だと思います。

 きものの格やTPOについては神経質にならざるを得ないのでしょうが、私は第一に考えていただきたいのは次のようなことです。
『自分の着るきものがその場の雰囲気を壊してはいないか。他人に不快感を与えてはいないか。』

 きものの格やTPOに厳格に固執しようとするあまり、(私が思う)きもののマナーの最大原則を忘れないようにしてもらいたいと思っています。

質問者

 ご説明いただいてはっとしました。

>『自分の着るきものがその場の雰囲気を壊してはいないか。他人に不快感を与えてはいないか。』
>きものの格やTPOに厳格に固執しようとするあまり、(私が思う)きもののマナーの最大原則を忘れないようにしてもらいたいと思っています。

 まず、このことが先にあって帯と着物の格合わせを考えたり悩んだりするべきなんですね。 というのも、私は遠山模様をバックに橘と桐が描かれた訪問着を持っていて、図柄だけですとおめでたいお席に・・・と思ったのですが、箔が置かれているわけでもなく柄自体も小柄ですので帯次第ではもっと気軽に応用できないものかと考えたからなのです。

 訪問着でも誰から見てもおしゃれ感覚のものは判りやすいのですが、一見古典柄のものもですと、どうも初心者(私だけかな?)は身構えてしまって、この場に相応しくないのでは・・・?と躊躇してしまって着る機会も失いがちでした。

 帯をいかにも吉祥という感じのものではなくすれば、もうちょっと楽に着てもいいのでは・・・と思えてきました。 新春のコンサートなんかだったら・・・許されるかな?

  他の方の気分を壊すようなことはないと思われます。お正月に気張ってお食事会・・・というときも雰囲気を壊すということもないですよね。 せっかくの訪問着なのですっごい「訪問」はめったにありませんが、着てみたいと思いました。

 それでは、またどうぞよろしくお願いいたしますね。この度はどうもありがとうございました!

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参照:「きもの春秋 18. きものの格式」
参照:「きもの講座 2. きものの格について」
参照:「きものQ&A 527. 着物の格について 」

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