明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

403.振袖について質問です   

きものQ&A

質問者

 はじめまして。着物のことをいろいろ調べるうち、こちらのサイトを知りました。
 
 どなたかも書いておられましたが、
「もっと早くここに来ていれば!」
という気持ちで一杯です。きもの春秋、質問箱etc.…ひとつひとつのページが、とても勉強になります。
 
 早速ですが教えていただきたいのは二点です。

1.『フォトトピックスNo.8』の写真にある、京友禅のシールが貼っていない京友禅はありますか? このシールは、手描き京友禅だけに貼ってあるのでしょうか。

2.振袖の仕立てについてです。裄の長い娘なので、身ごろと袖の縫い合わせが反物の幅ぎりぎりになっているようです。そのためか、柄の入っていない部分がきせの間に細くのぞきます。身ごろから袖までが続き柄になっていて、着物の地色と柄の色が全く違うので、柄の入っていないところが縫い目に沿ってほんの数ミリ幅ですが線状に見えるのです。畳んであると見えませんが、着たときに着物の重みできせが開くとおかしいですよね。成人式は再来年なので仕立て直してもらうつもりですが、よほど寸法を重視したのか何なのか… それとも、よくある?ことなのか…

 お時間のあるときで構いません、どうぞよろしくお願いします。

ゆうきくん

 京友禅シールが貼っていない京友禅はあります。まず、この証紙は「手描き京友禅」を保証するものではありません。京都の業者が染めた事を保証するものです。
 
 手描き友禅と言うのは、手で糸目を引いて手で色を挿したものです。高価ですし、全体の量からすれば非常に少ないでしょう。手描き友禅の他に京の染物としては、型友禅、捺染などがあります。
 
 きものの用語があいまいなことは「きもの春秋 1. 難解なきもの用語」で語りましたが、京友禅あるいは友禅という言葉が何を指すのかもはっきりとした定義はありません。証紙が保証しているのはその全部(京都で染められた染物)を指しているようです。従って、証紙が貼ってあれば、それは間違いなく京都で染められたものと思って差し支えないと思います。
 
 ちなみに京都以外で染められたものとは、新潟県の十日町や東京その他国内の産地。そして中国やその他海外で染められた染物を指します。
 
 しかしながら、それでは証紙が貼っていないものは京都以外で染められたものなのか、と言うことについては、保証はありません。
 
 トピックスの中でも書きましたが、きものに関する証紙は様々創られてきましたが、多くがなし崩しになっています。国が法的に制定した証紙でなければ従う義務がありません。その証紙がどれだけ権威を持って業界に影響を与えられるかと言うことだと思います。
 
 この証紙が制定されたのは平成17年、京友禅振興協議会と言う団体が制定しました。その後業界では、この証紙は余り普及していないようにも思います。
 
 この証紙がどれだけ権威があるのか定量的には説明できません。言えることは、一つの目安となりますが、絶対的な目安と考えることは危険だと思います。証紙に振り回されずに商品の良し悪しを判断していただきたいと思います。

 まず、裄丈については「きもの講座6.きものの寸法について」をお読みください。
 
 裄丈が本当に長い場合、おすもうさんの様な場合は袖を剥いで必要な寸法を確保します。しかし、通常女性の場合はまずないでしょう。
 
 振袖のような絵羽物は剥ぐことはできません。どうしても長く取らなければならない場合は、寸法を「いっぱい」に採ります。「いっぱい」とは「できるだけ」と言う意味です。
 
 裄の寸法を制限するものは、まず反物幅があります。縫い代を引いてできるだけの寸法を採るのが「いっぱい」です。しかし、絵羽物の場合、型で染めたものの中には反物幅いっぱいに染めていないものがあります。なんだかさんの場合がそうでしょう。その場合は柄の幅しか採れません。いくら裄を長く採らなければならないと言っても、柄の幅以上に裄を採る事は考えられません。少なくとも私の店では絶対にありえないことです。

質問者

 ゆうきくん様 わかりやすいお返事、ありがとうございます。
 
 京友禅証紙がない京友禅もあるのですね。2年ほど前に私の着物をデパートで作ったときに、店員さんには京友禅と言われたのにはぎれに証紙がありませんでした。丹後ちりめん、日本の絹、反物の重さと長さのスタンプはあります。
 
 京都へのこだわりはそこまでなく、素人目に柄を見た感じは京友禅風の柄付ですし、何よりも着物自体は気に入っているのですが、海外で染められた物もあるとのこと、何とも微妙な気持ちです… これも着物ナショナリズムなのでしょうか。
 
 裄丈のこと、もう一度 「きもの講座6.きものの寸法について」 を読ませていただきました。 きもの講座6.の図を見ると、後巾よりも肩巾が長くなっていますよね。恥ずかしながら今まで、きものは全くの長方形からできているとばかり思っていたので、図のように肩巾を出すと言うことを全く知りませんでした。
 
 柄が出ない部分があるというのは、ありえないというのもわかりました。 またわからないことがあったらぜひ相談させてください。
 
 一消費者のためにとても親身になってご回答いただき、とても嬉しかったです。本当にありがとうございました。

参照:「続きもの春秋12. 巨大化するきもの 」
参照:「きもの春秋終論Ⅳ きものを取り巻く問題 ⅳ寸法について」
参照:「きものQ&A119.裄が短いのは変ですか」

 

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