明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

55.別織って何のことでしょうか 

きものQ&A

質問者

 先日、実家の箪笥の中から、「くで絣結城 別織」と書いてあるシールが貼られた反物が出てきました。
 
 まさか本物の結城であるとは思いませんが、「別織」とは何の事なのか よく見かける言葉だけに気になります。 どういう意味なのか教えて下さい。

 反物の見た目はほんのり艶のある薄手の生地で、ふしのように太め糸が見えます。 
 

ゆうきくん

 何度も申し上げる通り、呉服用語、呉服業界言葉は曖昧で使い方がまちまちです。そのことを頭に入れてお読みください。
 
「別織」「別染」「別誂え」という言葉はよく使われます。 例えば「別染」というのは次のように使います。
 
お客様に色無地を見せている時、
「いかがですか、この色無地は」
「もっと藤色っぽいのがいいですね」
「それではこれはいかがですか。」
「いいえ、もつと色の濃いものがいいです」
「そうしますと現物はありませんので別染いたしましょう。」
という具合です。
 
 この場合、別染というのは指定の色に染める、ということを意味しています。 つまり、既製の商品あるいは店にある現物で間に合わない場合、染め出すことを意味しています。
 
 八掛を合わせる時に現物やカタログの色にないときにも別染めをします。もっと広い意味でいえば、別織、別染、別誂えというのは、
「その人の好みに合わせて特別に織った(染めた、誂えた)もの」
という意味になりそうです。そして、もっと広義に捉えて
「具体的な○○さんを対象としたものではないけれども、特別に、他とは違った製法で作ったもの」
という意味にもなりそうです。 商品の付加価値を高める為に「別織」「別染」「別誂え」という言葉が乱用されているかもしれません。
 
 その紬が正確にどのような意味で使われているか断定はできませんが、その機屋さんが「他の機屋とは一線を画すような紬」という意味で使っているような気も致します。
 
 言葉だけを聞いても意味を特定できないのが呉服用語です。

質問者

 なんとなく、ニュアンスだけは掴めた気がします(理解力に乏しくて・・・)
「くで結城 別織り」と書いてあるので、
「結城となにか関係があるのかしら?まさかね」
と思っていました。

「別織り」とあるだけで混乱するのに、「くで」とあれば ますます何を表しているのかわからなくなってしまいます。 それに「結城」なんて付いているものですから、良い物なのか胡散臭い物なのか素人には全くわかりません。
 
 反物自体はとても気に入っているので、言葉にこだわらず ちゃんと仕立てて着る気ではいますが、自分が着る着物が 何なのか、知りたいと思ったんです。
 
 呉服用語っていろいろあるんですね。 お勉強になりました。 ありがとうございました。 

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参照:「きもの春秋終論 Ⅴ-ⅲ良いきものの証」

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