明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

79.年配向けを着る基準

きものQ&A

質問者

 お世話になっております。
 
 着物の色柄について教えてください。 着物の色柄はおおざっぱに「若い人向け」「若奥さん」「年配」といった感じに分かれているようです。
 
 渋い色柄は年配のもので、若い人には似合いません。 で、この「年配」の目安は40代だったように思うのですが、40代になったというのに、今もって30代前半で通る貫禄のなさに、見立ててくださる方も色無地なら「年配向け」の「挽き茶」や「花田」は「ちょっと渋いですね」と、若干赤めの紫などを勧めてくれます。
 
 単体で見ると、まだまだ、そんな色柄の方が似合うのですが、着物だとどんなものなのでしょうか?
「いい歳して、若い着物着て」
ということにならないかと。
 
 洋服の業界では「歳は8がけ」とかで、以前よりはずっと若い衣類を着ることは割りと普通になってきているのですが、着物ではどうなのでしょうか? (40歳の8がけは32歳。確かに30代前半)

ゆうきくん

 きものの色柄は従来、「若向き」から「御年配向き」までおおよそ決っていました。
 
 派手な色は若向き、地味な色が御年配向きです。柄も大柄が若向き、小紋柄が御年配向きというふうに。しかし、最近若い人は従来の色柄に捉われずに地味な色も着こなしています。
 
 そういう意味では、色柄に決りはなくなっているようにも思えますが、私はやはり若い人には若々しい色柄のきものが似合うと思っています。しかし、優妃さんの仰るのは従来の色柄についてだと思いますので、そのつもりでお答えします。  
 
 仰る通り、四十は一つの境目かもしれません。昔は四十を初老と言っていました。(今、初老と言ったら張り倒されるかもしれません)また、孔子は四十を不惑と言って、人生を迷わなくなる歳だといっています。(私は四十をとおに過ぎていますがまだ迷っています)どちらにしても昔から人生の境目だったのでしょう。
 
 しかし、年齢は連続的に変化するもので、四十の誕生日を迎えた日から突然なにかが変る訳でもありません。オシャレは歳の節目を気にせずにしたらどうでしょうか。  
 さて、優妃さんは御自分の歳よりも若く見られたいと思っていらっしゃるでしょうか。それとも年嵩に見られたいと思っていらっしゃるでしょうか。
 
 私は中学生の頃は小学生に見られるのがいやでしたし、高校の時は中学生に見られるのがいやでした。しかし、最近は若く見られたほうがなんとなく気分が良いようです。
 
  数年前、図書館で高校生に間違われて成人席を追い出されそうになった事があります。泳いだ後、洗いざらしの髪にTシャツ短パン。何故か高校の世界史の教科書を持っていたものですから係員が私を高校生だと思って成人席から追い出そうとしたのです。
 
 さすがに私は不快でしたが、それは極端な例で、五年十年若く見られるのは不快ではありません。  
 
 歳相応のきものの条件には一つにはその人に合った、色柄と言うものが有ります。
 
 若く見える人はそれ相応に、落ち着いて見える人には落ち着いた色柄を。そしてもう一つの条件は、自分がどのように見られたいか、ということがあります。
 
 人並以上に若く見える人は少々落ち着いたおしゃれをしたいと思う人もいるでしょうし、あまりに落ちついて見える人は少し若返りたいと思う人もいるでしょう。
 
 その二つを組み合わせてその人のオシャレが決ると思います。
「いい歳して、若いきものを着て」
というのは二つの条件を逸脱している場合で、「何歳だから」という絶対的な判断ではないように思えます。
 
 着るきものによって、「歳は八掛け乃至二割増」といったところではないでしょうか。

質問者

 アドバイスありがとうございます。
 
 普段の目指している想定年齢は30代前半ですね。 中学辺りから20代後半を目指し、就職後は30代前半をめざし、 実年齢がそれを越えてもそのままというところでしょうか。
 
 傍目は確かにその年齢くらいにみえているようなので、オシャレ着物の色柄としてはその辺向けの着物を着ることに差し支えはなさそうですね。 実年齢が必要になる場所なぞほとんどありませんし。 最近の若い方の身長にあわせて大柄やとび柄間隔の大きい反物も多くでてきて、楽しみです。
 
 ただ、こと着物に関しては「年配色を着こなしたい」という中学以来の野望もありまして、挽き茶や花田の無地か江戸小紋も憧れの。 最近は若い人向けのこれらの系統の色もありますが、やはり若向けな配色の考慮がされているもの。野望はいわゆる「年配色」であったりします。
 
 でも着物はまだ先が長いですから、これらはゆっくり似合うようになれば良いと考えることにします。 どうもありがとうございました。  

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参照:「きものQ&A 299. 赤朱色の江戸小紋は、幾つまで着れますか?」

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