明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

517. 藍の着物と帯について 

きものQ&A

質問者

  いつも、貴重な知識をありがとうございます。初めて投稿させて頂きます。
 
 私は藍が好きで、正藍の着物や帯を何点か持ってます。 しかし、ご存知の通り、藍は色落ちします。 擦れたり汗ばんだりすると特に顕著ですね。
 
 以前、藍の浴衣に白目の帯を合わせて色が付いてしまったこともあります。 知人は
「濃い色のものに合わせればいい」
と言いますが、それだとつまらないし、色が移ること自体に変わりはないですよね?
 
 色止めのため、酢や塩を使って洗ったり、日光に当てて放置したりと色々試しましたが、完璧ではありません。 そのため、最近は着ること自体、躊躇するようになってしまいました。
 
 しかし、昔からある染めなので、何か工夫があるのではないかと思ってます。 着付けの工夫、または色止めの方法。 もし、良い方法があるのでしたら、教えて下さい。
 
 着付けの場合は藍の着物に薄色の帯、薄色の着物に藍の帯。 それぞれの工夫を教えて頂けますと嬉しいです。 

ゆうきくん

「藍はおちる」というのは着物を知る人の常識になっています。 これは本当です。
 
 藍染といっても色々あるのですが、まず、藍染の種類によって落ち方は様々です。
 
 触っただけで手が青くなってしまうもの、落ちないように思えても締めた帯がうっすらと青くなるものなどです。
 
 何故そのような違いが出るのかは分かりませんが、丁寧に染められたものについては落ち方が少ないようにも思えます。
 
 中国で染められた藍染めの風呂敷やのれんの中には(全てがそうではありませんが)触っただけで手が真っ青になり、何度水で洗っても色落ちがとまらない、というものもあります。
 
 日本で丁寧に染められた藍染めのゆかたは比較的色落ちは少ないようです。それでも色落ちはします。しかし、時間が経ち、何度も洗濯するうちに完全に色落ちは止まります。
 
 私の母が着ている長板藍染のゆかたは、祖母が着ていたものですが、数十年経ち全く色落ちしません。白い下着と選択しても色が移ることはありません。
 
 藍染と付き合うには次のような心構えが必要だと思います。
・藍は色落ちする。これは天然染料である故に起こるもので仕方がない。
・藍染には技術があり、比較的色落ちしない(上手な)藍染を選ぶ。
・長く付き合うほどに色落ちはしなくなり、良い色になっていくのを楽しむ。 そして、
・もしも色落ちして帯等に藍が移ったら、染み抜きに出す。
 
 専門の染み抜き屋でしたら色落ちした藍は完全に落としてくれます。 以上のような事を考えて上手に藍染と付き合うのがよろしいかと思います。

質問者

ご丁寧なお返事、ありがとうございました。
 
 なぜ色落ちが激しいものとそうでないものがあるのか、不思議に思っていましたが、やはり技術の良し悪しはあるのですね。 また、色移りしたものは落ちないと思い込んでいたので、染み抜きできるというのも嬉しい驚きでした。
 
 お返事を読んで、普通の藍染に関しては、水を潜らせて色が落ち着くのを待つのが最上の手段と得心しました。 これで方法を求めてうろうろせずに済みます。気長につきあっていこうと思います。
 
 ありがとうございました。

参照:「きもの博物館 8. 長板小紋中形本藍染(野口汎先生の事)」

 

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