全日本きもの研究会 きものQ&A
550. 綿の縮
質問者
60代中頃の男です。
30年ほどご無沙汰していた趣味の和装ですが、数年前から再開しました。 夏着物として販売していた、仕立て上がりの「木綿の縮」を昨年購入しました。 ネットで「夏着物」を検索すると、「麻、絽、紗」は表示されますが「木綿の縮」は表示されません。「木綿の縮」が本当に夏着物なのか、「夏着物」としてマイナーな存在だけなのか分からず不安です。 教えてください。
ゆうきくん
「木綿の縮」が夏物かどうかをお話しする前に、夏にお召しに成って頂いて構いません。現物を見なければはっきりしたことは申し上げられませんが、夏物の綿の縮と言えば、「阿波しじら」があります。「阿波しじら」は、甚平の素材にも使われるもので、シボがありサラサラした生地で、夏用の生地です。「木綿の縮」と言うのは同じような生地だと思います。
さて、夏用かどうかと言う事ですが、絽や紗は夏用の生地で、春秋冬には着ません。着物は見た目を重視しますので、絽や紗は薄物として夏専用の着物になります。縮は袷では仕立てにくいので単衣で仕立てる事が多いのですが、単衣の時期に着るのか、夏物の時期に着るのかははっきりとした決まりは無いと思います。
木綿の着物は普段着です。普段着と言うのは洋服でも同じですが、暑い時には涼しい装いを、寒い時には暖かい装いをします。最近の着物のしきたり論争では、「いつの時期は〇〇」と言うように線引きしなければ気が済まないようですが、昔は普段、暑ければ涼しい着物を、寒ければ暖かい着物を着ていたでしょう。その「木綿の縮」を何時着たらよいかは、その着物と気温が教えてくれるでしょう。
夏の着物と決めつけて六月の暑い日に着てはいけない、とか、夏物ではないので七月に着てはいけない、と言う事はありません。他人が見て見苦しくなければ、快適な時期にお召しください。また、そうする事によって、着物の快適さを広める事ができると思っています。
質問者
生地の質は先生が説明していただいているとおりの品です。着方についても100%合点がいきました。勇気を出して質問して良かったです。私としては高額な買い物でしたので納得いくまで着てみようと思っています。