全日本きもの研究会 きものQ&A
527.着物の格について
質問者
はじめまして、着物について質問させていただきたく、投稿いたしました。いただいた着物でどういった格付けになるのか判断しかねるものがあり、お聞きします。
振袖で、総柄の絞り、絞りのほかに金糸で刺繍された花柄が入っているものです。その絞りや刺繍で入っている柄が、縫い目を超えて柄の入っている、絵羽物というものなのです。
祖母からいただいたもので、作られたのは昭和初期~中ごろの昔の着物です。
「絵羽物は晴れ着として扱われる」
とおっしゃっていましたので、柄の入れ方を考えると晴れ着という扱いなのでしょうか?
それとも、絞りなので、街着用の柄を正礼服に取り入れた、正礼服としてはおかしな着物なのでしょうか?
あなたのご見解をお聞かせください。
ゆうきくん
きものにはその場に応じた格があります。普段着のきもの、晴れのきものなどその場に合わせて着るべききものがあります。
しかしながら、一枚一枚の着物について、
「この着物はあの着物より格が上」
「あの着物はこの着物より書くが下」
と言うように、一枚一枚の着物について格付けすることは意味がありません。
また、時代によってしきたりも変ります。そのきものも戦前のきものと言うことで、今日のしきたりとはずれがあるかもしれません。
振袖は若い人の晴れ着です。振袖は若い人の着物ですが、昔から若い人は始終振袖を着ていたわけではありません。特別な場、すなわち晴れの場でで着られた物です。振袖である以上、振袖としての格があると考えるべきでしょう。
質問者
丁寧なご回答ありがとうございます。
今は見られる柄ですが、着物を知る人からみるとちぐはぐなものなのかという思いがあって悩んでいたので、ご回答を見てすっきりしたのと、着物に対する考え方の勉強になりました。
大変な歴史を経て私のもとにやってきてくれた逸品なので、私も大切に受け継ぎます。
ご教授感謝いたします。
参照:「きもの春秋 18. きものの格式」
参照:「きもの講座 2. きものの格について」
参照:「きものQ&A 132.小紋の振袖と絵羽の振袖の格に違いはありますか」
参照:「きものQ&A 44.絞りの着物について」