全日本きもの研究会 きものQ&A
56.麻のきものについて
質問者
教えてください、リサイクルで求めようとしている麻の着物についてなのですけれど、金額は12万円でした。昭和の始め頃の着物と言われました。
以前、麻の着物の中には糸を機械で括ったものがあるということを、 聞いたことがあるのですけれど、そういったのもあるのでしょうか?
そして機械で括ったものは皺になりやすいと言われたのですけれど、 そうだとしたら、どうしてなのでしょうか?
手で括った糸で手織りとなりますと、いくらリサイクルでも もう少し金額が高いのでは・・・と思っています。
産地は不明で縦糸模様で状態は良好です。
あと昔の物は良いものが多いと良く聞くのですけれど、 それはどういうことから言われることなのでしょうか?
漠然とした質問ばかりでスミマセン・・・ どうぞ、よろしくお願いいたします。
ゆうきくん
どのような麻の着物を目にしているのか、またうららさんの体形その他も存じ上げませんので、一般的な話をしますので、参考までに読んでください。
古着一般、特に戦前の古着について言えることですが、昔の反物は巾が今よりも狭い物がほとんどです。そのきものをどのように利用されるのか分かりませんが、解いて仕立て直そうとするのでしたら巾を良く見て検討してください。そのままお召しになるのでしたら構いませんが、裄が短いものが多いと思いますので。
さて、「機械で糸を括った」とありますが、括るというのは絣を付ける為の工程です。「括った」ではなく「紡績、糸を作る」ことでしょうか。 麻の糸は苧磨や亜麻、サイザル麻などから採るもので、絹糸とは違って原料が長い一本の繊維ではありませんので大変手間が掛かります。
皮の部分を、いわば裂いて細い繊維を作ります。これを手作業で行うのに大変な手間が掛かるのです。現在使われている麻のほとんどは機械紡績で作られています。
全て手で作っているのは越後上布や能登上布、宮古上布、八重山上布、会津上布、近江上布など極一部に限られていると思います。
機械紡績の糸がシワになりやすいというのはありえる話だと思います。しかし、科学的な根拠はわかりません。
きものの良し悪しはいかにその着物に手を掛けて作ったかということと無関係ではありません。(ホームページ、きもの春秋15「手造りと難物の境]参照 http//www.ykya.co.jp/ksj/ksjtale/15.htm)
手造りで手間を掛けたからといって必ずしも良い物ができるとは限りませんが、良い物は全て手間が掛かっていると思って良いでしょう。
麻の紡績糸はほとんどが輸入品で作られています。ブラジルあたりから輸入されているらしいのですが、それを紡績して糸にするわけです。
一方上記の手造りで織られる上布は、原料の生産から手を加えられます。新潟では均質な材質を作るために焼畑をして新芽を芽吹かせるという話も聞きます。材料にこだわるのは手作りならではといえます。腕に自信のある料理人は材料を吟味します。その上で超一流に調理されるのですから美味しい料理ができるのは当たり前です。
同じように手作りで織られる上布は機械が手を加えたものよりも良い物ができます。 昔の物に良い物が多いというのは、昔は機械化が進んでおりませんでしたし、人件費も安かったので十分に人の手を掛けたきものが多かったということでしょう。
12万円が高いか安いかということについては何とも言えません。きものは骨董品でもなければ投機の対象となるものでもありません。そのきものが自分にとって12万円の価値があるかどうかが判断の基準です。相場より高いか安いかについては現物を見ない以上何とも言えませんので。
質問者
麻は古くはイロイロな地方で作られていたと聞いたことがあります。 昭和の始め頃ということが分かっているだけでは、地方の限定は難しいのですね・・・。
この頃の機械化というのは、どこまで進んでいるのでしょうか? できたら手での紡績、手機のものが欲しいと思っていしまいます。
スミマセン、見るときのポイントなど教えていただけませんでしょうか?
> 機械紡績の糸がシワになりやすいというのはありえる話だと思います。しかし、科学的な根拠はわかりません。
一枚、越後上布を持っています。ものは確かなのですけれど、着ているうちに、シワといいますか、ボワボワな感じになってきます。 それでも機械での紡績ではなくて、手での糸つくりなのですね。 他の上布を持っていないので、比べた感じが分からずに言っています。
スミマセン・・・。 いきなりやってきて不躾な質問ばかり、本当にゴメンナサイ。
旅から旅
旅から旅です。 うららさん、こんばんは。
ちょっと、お聞きしたいのですが、よろしいですか? その織物が昭和初期のものであるというのは、どうしてわかったのでしょうか? もうひとつ、縦模様というのは、なんのことなのでしょうか? 縞柄のことなのでしょうか?
それからね、「昔のものは良い」という言葉は、正確に言うと、
「戦中および戦後間もない頃のものは悪いけれど、戦前のものは良かった」
というのが、正確だと思っています。 この場合の戦中というのは、ご存知とは思いますが第2次世界大戦のことです。 もうずいぶん、昔のことです。 織物をみるときに、経緯絣になっているものは、ほぼ手織りです。
それから、古着、いまはリサイクルというのですか? このリサイクルの着物を見るときは、生地が弱ってないかどうかを是非、 確認してくださいね。
ではでは。(旅)
質問者
>ちょっと、お聞きしたいのですが、よろしいですか?
>その織物が昭和初期のものであるというのは、どうしてわかったのでしょうか?リサイクル店の店主さんが言っていました。
>もうひとつ、縦模様というのは、なんのことなのでしょうか?
>縞柄のことなのでしょうか?
そうです、つい大島の経緯模様のような言葉を使ってしまいました。
>それからね、「昔のものは良い」という言葉は、正確に言うと、
>「戦中および戦後間もない頃のものは悪いけれど、戦前のものは良かった」というのが、正確だと思っています。
>この場合の戦中というのは、ご存知とは思いますが第2次世界大戦のことです。
>もうずいぶん、昔のことです。
>織物をみるときに、経緯絣になっているものは、ほぼ手織りです。
現在の物でも、手織りなのでしょうか? 韓国産の大島とかも・・・?
>それから、古着、いまはリサイクルというのですか?
リサイクル店で見た物なので・・・。
>このリサイクルの着物を見るときは、生地が弱ってないかどうかを是非、
>確認してくださいね。
>ではでは。(旅)
良い状態ですので、求めようと真剣に思ってしまって、 勢いづいての質問となってしまいました。スミマセン・・・。
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参照:「きもの博物館 50. 上布」
参照:「きもの博物館 61.平織麻襦袢(ひらおりあさじゅばん)」